誉れの赤 (講談社文庫 よ 40-4)
誉れの赤 (講談社文庫 よ 40-4) / 感想・レビュー
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
武田家の滅亡から関ヶ原の戦いにわたって「赤備え」として強く生きたいと思い続けた一人の名もなき下級武士の生きざまを描いた物語。吉川作品を読むのは二作目となり、安定感のある読み心地には相変わらず好感が持てますが、本作においては500頁におよぶ大作のわりには、全編を通じて平坦で盛り上がりに欠けた印象がちょっと残念。赤備えとしての誇り、友情、信頼関係と、魅力的な材料は沢山あっただけに、もう少しどれかに絞って盛り上げていってもよかったのかもしれない。著者の作品は読み始めたばかり。これからまだまだ楽しみです♪
2018/09/05
巨峰
甲斐武田から徳川氏にうつった武士たちの生き様と、彼らを受け入れた徳川家康井伊直政との関係を重層的に描いた。実は徳川家において新参だった井伊直政の苦悩などこれまでの歴史小説で描かれなかった部分があちこち描かれていて興味深くはあったけど、小説としてはもう一つかなぁ~。歴史の説明にかなり筆を取られた印象。
2016/12/26
Bibliobibuli
赤備えを背負った者たちの必死な生き様が、よく伝わって来ました。「必ず生きて帰ること」を自らの信念とし、部下達にも言い聞かせている山県昌景にも、感動しました。
2018/03/20
只三郎
よくある武将の物語では無く、その武将に仕えた下級武士の物語。 上の方針に従わなければいけない者達。どんなに自分が望む働き場を求めても、上の方針に背く訳にはいかない。 それは、今も昔も変わらない。会社という組織の中では幹部または上司の決定が、自分達の意にそぐわなくても従わなければならないことが多々ある。でも、その中で自分の生き様を見付けることができた者達は幸せだ。 自分自身が納得できる生き様を見付けることが出来るのだろうか?
2018/10/06
maito/まいと
文庫版再び。やっぱり名作だ。武田家エリート集団だった赤備えが味わった、徳川家での屈辱的な扱い。それを越えて、戦国時代に再び赤き栄誉を取り戻すまでの復活物語。主人公二人の引っかかりや心情、関係性がもどかしいほどに初々しく熱い。二人がきちんと自分と恩師の思いを受け止めてそれぞれの道を歩む姿こそ、この作品の真骨頂だと思う。そして、人は何を持って生きればいいのか、という根源的なところをこの作品は突きつけてくる。墜ちていくのではなく、未来に夢を持っていくこと。まさしく誉れとなったラストシーンが読んだ後じわじわくる!
2019/03/02
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