夢の燈影 新選組無名録 (講談社文庫 こ 87-1)
夢の燈影 新選組無名録 (講談社文庫 こ 87-1) / 感想・レビュー
えみ
試衛館時代から皆の心の支え、唯一無二の存在・井上源三郎。文久三年から箱館まで戦い抜いた・蟻通勘吾。近藤の養子となった薄幸の美男子・谷周平。山南敬助をはじめ、4人の切腹した隊士の埋葬依頼をした寄越人・酒井兵庫。言わずも知れた新選組きっての監察方・山崎丞。『戦友姿絵』を描いた中島登。無名なんてとんでもない!確かに主役にはなりにくいかもしれないけれど、新選組を深く知るためには重要な人物ばかり。新選組の本質と殺伐とした気組み、知られざる隊士達の姿を内部から見る。彼らが支えた新選組、感動秘話満載で最高の小説だった。
2021/09/17
けやき
新選組の連作短編集。井上源三郎が主人公の「信心」、「夢告げ」、近藤周平にスポットを当てた「流れ木」、「寄越人」、山崎丞の視点から描く「家路」、「姿絵」、「夢鬼」の七編。新選組の入門書としては難しいかもしれないけど(そんなこともないかな)、有名隊士のキャラを知っているとより楽しめるかも。全体の感想としては、人間って、みな天邪鬼なのかなぁ~という感じがしました。個人的には、「寄越人」の中の山南敬助と藤堂平助の関係の描き方がよかったな。
2016/09/28
Die-Go
新選組における、所謂主役級の隊士ではなく、どちらかと言うと無名だったり、活躍の少ない人達を取り上げている。帯にある「司馬遼太郎『新選組血風録』以来の収穫」とまではいかないものの、新選組と言う群像に血肉を与えてくれる良書ではある。★★★★☆
2020/06/13
ユメ
新選組物はどの隊士に焦点を当てるかも楽しみのひとつだが、本書は無名隊士を中心とした人選の妙が光る。私がいっとう好きなのは、井上源三郎を主役に据えた「信心」。幹部の中では影の薄い井上は、己が新選組にいる意義を見失って悩む。だが、試衛館以来の仲間たちは彼を愛し、必要としている。仲間たちが井上のために設けた宴席で、そうとは知らぬ彼が沖田に向かって「姉さんに言いつけるぞ!」と言い放つ名場面では、私も一緒になって泣き笑いした。誰もが皆、多少屈折こそしていても、新選組という場所に思い入れを持っているのに胸を打たれる。
2019/10/21
きいろ
初読み作家さん。他の作品も読んでみたいな。大好きな新撰組、源さんから始まる短編。これはもう大好物でしょ。と思ったとおり、一気読み。副題に無名録とあるけれど、無名ばかりでもないかなー。
2016/12/31
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