どんどん橋、落ちた〈新装改訂版〉 (講談社文庫 あ 52-28)
どんどん橋、落ちた〈新装改訂版〉 (講談社文庫 あ 52-28) / 感想・レビュー
ナルピーチ
館シリーズ以外の綾辻作品を初めて読んだがやっぱりいいね!本書は『犯人当て』に特化した五編の短編集。『読者への挑戦』との煽りうけ、頭を働かせるが見事に撃沈した…。本編を読んだ後は必ずあとがき、自作ガイド、解説まで熟読することをお勧めする。表題作『どんどん橋、落ちた』はなんと綾辻先生が京大時代に既に原型が出来上がっていたとあって、そんな若い頃からこんな作品作れるのかと、ただただ脱帽させられた!大山先生が解説に残している言葉「異端にして正統、異形にして端正」それが綾辻行人なのだ!
2020/12/04
かみぶくろ
ルール破りギリギリのトリックを繰り出してくるフーダニット中編集。もはやミステリーって学問の一分野なんじゃないかっていうくらい、ミステリー作家たちは研究熱心だ。作品もまるで新物質発見を発表する論文のよう。あんまり深く考えない自分には、当然一つも犯人を当てられなかったが、このギミックの数々はミステリーマニアには堪らないんじゃないだろうか。
2017/02/19
aquamarine
犯人当ての短編5編。そんなのわかるかよ、って思ってしまう解答なのですが、読み直してみると実に綺麗に伏線が張ってあって、ちゃんとフェアで驚きます。伊園家のブラックさには、ちょっと引きましたがこれも良かったです。井坂先生とどうやって知り合ったかはとても気になるところです。でもやっぱりすべてを持って行ってしまったのは「悩める自由業者・リンタロー」と毎回登場する「タケマル」。彼らとの関係を想像して、なんだか暖かい気持ちになりました。「人間じゃない」にシリーズ番外編のような一編があるそうなのでとても楽しみです。
2017/04/08
キナコ
再読。犯人あてをメインとした5話の短編。三つは犯人当て成功!この作品を読むたび、ミステリー小説はただ読むのでなく、文章を読み込んでどこに伏線があるのか探すのが面白いと感じさせてくれる。
2022/02/02
セウテス
〔新装版にて再読〕小説ならではのトリックを駆使した、5編の連作短編集。「アンフェアではないのか」と思う読者も居るだろうが、間違いなくフェア。ただし「セコイのではないか」と問われたら、私はその通りと答えるだろう。やはり叙述トリックは、物語の中の一部に然り気無く使われてナンボと感じる。叙述と解った時点で、此方は嘘発見器になってしまう為、読書より作業という感覚になるからだ。真面目にやったら文句が出るかなという謎解きを、在る意味奥深い小話で、笑える構成にしたセンスは抜群だと思う。これもミステリの一つ、と言う事で。
2017/04/27
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