東京藝大物語 (講談社文庫 も 50-5)
東京藝大物語 (講談社文庫 も 50-5) / 感想・レビュー
いたろう
脳科学者の茂木健一郎氏が、2002年から2007年まで、東京藝術大学の非常勤講師を務めた経験を元に書かれた小説。小説と言いながら、茂木さん本人が登場し、その講義の場面や、茂木さんの講義にゲストでやってくる有名なアーティストたちなど、実際の出来事が色濃く反映されているのでは?と思われる。東京藝大を卒業しても、芸術家として成功できるのは10年に1人といわれる中で、芸術表現というより、奇行が目立つ自由過ぎる学生たちが可笑しい。茂木さんの講義の後に毎回行われる、上野公園の中、東京都美術館の前での飲み会も楽しそう。
2021/12/27
U
いつかその地で学んでみたい、働いてみたいと思っている、憧れの東京藝大。強烈な個性をもつ生徒たちと茂木先生の青春のひとコマは、漫画を読んでいるような感覚で単純に娯楽として楽しめたのですが、前半は新鮮でよかったけれど後半そのノリにちょっと飽きてしんどくなりました。芸術は最大公約数を求めるものではない、というのは納得です。
2018/08/23
はじめさん
脳科学者である茂木健一郎さんが、非常勤講師として東京藝大で教えていた頃に出会った学生たちとの日々。おめーキャラ作ってんだろ? とわざ…わざ…と耳元で囁きたくなるが否ーー彼らは脳科学者もびっくりの思考回路の持ち主。講義のあと、公園での酒盛りが定番となり、履修人数をはるかに上回る「もぐり」の学生たち、大きい教室への移転。しまいにゃ他大の学生まで迷い込むカオス。/ ストレートはエリート、二浪、三浪は当たり前の世界で、脅威の就職率0%、唯一の国立美大は伊達じゃない。/ 香川県の直島やイサム・ノグチについての描写も
2018/03/22
ジロリン
小説というよりも、作者が藝大で講師をしていた頃の出来事を記録した、という感じの作品。奇妙な芸術家(の卵)たちを、単に”奇妙な人々”としか認識できていないというか…科学者に芸術家は理解できないのかなぁ、と思った。まぁ、ワタシは科学者でも芸術家でもないのでw正直よくわからんのだが“読み物”として面白く仕上がっているかと言われれば「NO」というしかないかな…
2017/03/27
冬見
「哀しきクオリアにこそ寄り添え」なんというか、異世界。実体験あってこその作品だとは思うけど、本書の位置付けが小説なのか実録なのかいまいち掴みきれないままに終わってしまった。どちらにせよ表面的な描写に留まっている、という印象。著者が彼らをどう描こうとしていたのかがよく分からない。「そのまま」を描こうとしているのならば圧倒的に描写(こちらが判断を下せる量の情報)が足りない。掘り下げ方/描き方次第でもっと面白くなる題材なだけにもったいない。この「どこまでもよく分からない」かんじがリアルなのかもしれない。
2017/03/28
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