一九戯作旅 (講談社文庫 の 18-1)
一九戯作旅 (講談社文庫 の 18-1) / 感想・レビュー
しんごろ
江戸のベストセラー作家である十返舎一九の旅の物語だと思ったんですが、一九に弟子入り志願をする仁八(にはち)に、自ら自分の人生を振り返りながら語るいう、凝った構成の伝記ですね。一九が人に恵まれたのも一九の仁徳だね。そして、この人は苦労を苦労だと思ってないような気がします。一九を見いだした蔦屋重三郎も類い希なる大物。重三郎の生涯も知りたいと思いました。苦労を苦労だと思わず、苦労だと思ったら、その苦労を楽しむつもりでのりきりたいですね。人生は苦労するのも含めて楽しまないとね。
2019/10/22
onasu
「道中膝栗毛」で人気戯作者になった十返舎一九。その仕事場に弟子入り志願で日参してくる者に、ふと一九は蔦屋重三郎との出会いからの来し方を話し出していく。 これまで読んできた作品では、耕書堂の居候として入れ替わりになった馬琴と硬軟対照的に描かれていることが多かったが、こちらでは努力している様を見せないよう、蔦重から助言を受けていたというのが目新しい。ただ、それが読んでいておもしろいかと言えば…。 あと、旅と題するほど旅が描かれていないのが残念。それとも、戯作のみを生業に生きたことを旅と称したのかな。
2017/06/03
こうちゃん
野口 卓さんで、十返舎一九ときたから、だいぶ期待してしまって結果、期待したものとは違った。 勝手に野口卓さんなりの東海道中膝栗毛を期待してしまったようだ。だけど、野口さんは書いていて楽しかったのだろうし、物書きとしての自戒を一九を通して記してる気がする。
2018/04/20
ロックイ
勝手に道中物と思って読み始めたので、途中までは文を目で追うだけの勿体ない読み方になってしまいました。原稿料だけで生計を立てていた日本初の物書き十返舎一九。言わずもがなの人気戯作者ですが、意外と遅咲きだった事を今回初めて知りました。読んだ事がない、読みたいと思った事も正直なかった「東海道中膝栗毛」ですが、読みたくなりました。
2017/06/27
真理そら
十返舎一九がどのようにしてプロの物書きとして生きたかというお話だが、そのまま物書き志望の人の参考になるのではないかと思わせる作品だった。蔦重のところに食客的に滞在していたころには気づかなかったことが書き続けることによって見えてきたりする描写も良かった。生活のために入り婿になったが、普通の夫婦のような関係になりそうになったら逃げてしまう場面なども、よく考えたら妻にひどいことをしているのに「ご隠居さん」風の語り口調なのでなんとなく落語的にさらっと読めてしまうのがおもしろい。
2017/08/27
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