まるまるの毬 (講談社文庫 さ 110-2)
まるまるの毬 (講談社文庫 さ 110-2) / 感想・レビュー
ひさか
2014年6月講談社刊。2015年第36回吉川英治文学新人賞受賞。2017年6月講談社文庫化。シリーズ1作目。カスドース、若みどり、まるまるの毬、大鶉、梅枝、松の風、南天月、の7つの連作短編。各話とも、面白いのだが、ご落胤は、ちょっと盛り過ぎ。澤田瞳子さんの解説が楽しい。
2020/08/09
yoshida
時は江戸時代。治兵衛は娘のお永、孫のお君と三人で菓子屋の南星屋を切り盛りする。南星屋の日常に起こる様々な出来事を扱う人情物。治兵衛の秘された血筋が物語に影響を与える。暖かい読後感が得られます。今も昔も変わらない人の持つ様々な感情。同業のやっかみや、男女の機微、幼い憧憬などが物語に散りばめられる。お菓子の描写では「くじらもち」が気になりました。最後の話しは辛いけれども、人をやっかんだり、つい軽薄な行いをした者が責任を負った。心に傷を負ったお君も、時間が傷を癒しまた立ち上がるだろう。安定した作品集でした。
2017/09/24
酔拳
とても面白い時代小説!人情がとても身に染みます。主人公の和菓子職人「治兵衛」と娘「お永」孫娘「お君」が家族で営む「南星屋」の話です。時々店にやってくる「石海おじさん」もいい味だしています。看板娘の「お君」が家柄のいいお武家と結婚がきまったあたりから、気が気でない想いで読みました。それから、「お君」の運命は思いもよらない方向へ・・・・・治兵衛の生い立ちが孫の運命までも変えてしまう・・・・でも、最後は、勇気と希望を与えてくれました。 最後3人で考案したお菓子「南天月」! 食べてみたい!
2019/03/07
佐々陽太朗(K.Tsubota)
「まるまるのまり」なんのこちっちゃ? と本を手に取ると「いが」とルビが振ってある。「まるまるのいが」の意味も分からなかったが、時代物の人情小説、しかもおいしい食べ物にまつわる小説となれば私の大好物である。テイストからすると高田郁さんの『みをつくし料理帖』あるいは小路幸也氏の『東京バンドワゴン』のファンならきっと気に入るのではないか。私が気に入ったのは「愛情」が物語の主題となっているが、それがいわゆる「恋愛至上主義」になっていないところ。ほろ苦さが残るが「これでいいのだ!」
2018/08/04
kouya
武家の身分を捨て、菓子屋を営む治兵衛。七話の短編、それぞれのお菓子が、家族の絆を強く結びつけていくように思えました。一話目から、ハラハラドキドキで一気読みです。調べてみると続巻あり。孫のお君ちゃんがどうなるのか気がかりにて、読み進めます。
2021/04/12
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