生きている理由 (講談社文庫 ま 73-18)
生きている理由 (講談社文庫 ま 73-18) / 感想・レビュー
三代目 びあだいまおう
『滅び行く清の王女は国を去り日本人として育てられた。後に日本の大陸進出を邁進する闘士として東洋のジャンヌ・ダルクと持て囃された彼女がなぜ十代で女を捨てて男になると宣言し「男装の麗人」に変貌したのか?数奇な青春と恋の物語』と作品説明。王族という恵まれた環境。しかし逃避生活を余儀なくされ、実の父親に『玩具』と称され養父に与えられた美少女。アイデンティティーという寄る辺さえない中探したのは『生きている意味』史実に基づくフィクションを、ドラマティックな史実として脳内再生させる筆力、著者の新たな挑戦を感じた‼️🙇
2020/11/12
utinopoti27
男装の麗人として一世を風靡した、「滅び行く清の王女」川島芳子は、なぜ十代で女を捨て男になると宣言したのか?本書は、謎多き彼女の生涯の中でも、さらに史料の少ない幼少期から十代半ば頃までを追っています。清朝復興の礎となる使命感を抱きながら、実は、養父の野心の道具としてしか存在価値のない自分に気付いた時、その圧倒的無力感の中で、彼女は生きる意味をどこに見出したのか。松岡さんの大胆な類推が、まるで史実であるかのような冴えを見せます。ただ、とことん俗物にされちゃった川島浪速さんが気の毒で・・そりゃないよ、松岡さん。
2018/01/02
とん大西
清朝の血統、男装の麗人-川島芳子。以前から興味はありましたが、近代史が苦手で敬遠気味。ちょい前に読んだ松岡さんの「ヒトラーの試写室」が面白かったので今回トライ。…男として生きる決意をした芳子。僅か16才の辛い選択。彼女の青春は激しく哀しく…。愛情深い実親との離別も清朝復興の為。来日した7才の顯子は川島家の養女となり芳子と名付けられる。皇女か庶民か。日本人か異邦人か。親子か他人か。頼りないアイデンティティが成長した芳子に生きる理由を問いかける。男か女か。宿命に翻弄される彼女自らが選んだ異形の道。哀しい…。
2018/04/08
ゆみねこ
男装の麗人「川島芳子」。清国の王女として産まれながら、日本人・川島浪速の養女として日本に渡り、16歳で突如「男装」するに至るまでの青春編。歴史上の実在の人物や、日中の史実を絡めた壮大なストーリー。作中登場する「玩具」の解釈がキーワードとも言えて、興味深く読み進めました。続編も出るとのことで、楽しみです。
2018/04/22
Yunemo
川島芳子を捉えて、どこがフィクションなんでしょう。このままが史実にも想えて。この時期以降、男装の麗人として活躍する訳ですが、何故男装に、というプロローグ。運命とはいえ、16歳という年齢までの過酷過ぎる状況に、胸を突かれます。孤独という意味を一人で抱えての思春期、純愛というには重すぎて。作中で表現される、ひと目惚れは恋、すべてを許せるのが愛、両方揃って恋愛、そういうものかな。また本作品、今までの著者作品と比して、状況表現がくど過ぎるのでは。緻密に丁寧に描いてる、とは違った意味で都度都度、引っ掛かりの要素に。
2018/01/14
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