新装版 鬼面の研究 (講談社文庫 く 2-52)
新装版 鬼面の研究 (講談社文庫 く 2-52) / 感想・レビュー
セウテス
【伊集院大介シリーズ】第3弾。〔再読〕30何年かぶりだが、そんな気はしない。シリーズの中でも、本格ミステリの基本型ではないかと言う位、仕掛けが揃っている。再読だが、やはり堪らない、わくわくドキドキでのめり込んで仕舞う。山奥の隠れ里を舞台に、一本しかない吊り橋が落ちて、しかも一緒に電話線も切れて仕舞う。ダイイング・メッセージが在り、見立て殺人が起き、読者への挑戦とくれば、これぞ探偵小説である。いかにも横溝先生を感じる設定が大満足だが、改めて読むと図面ともう少し伏線が在れば、推理出来る楽しみが膨らんだと思う。
2020/12/11
ヨーコ・オクダ
伊集院大介シリーズ。TV番組の取材のため、九州の山奥の村へ向かうことになったカオル女史。大介は、なぜかヤバい物、方向、人等に吸い寄せられる彼女のお守り役を担いつつ、事件の謎を解く。横溝センセ的古い因習等を守る独特の世界に土足で踏み込むTVクルー。一般人が喜ぶ絵面を裏から作り上げる彼らもまた独特の人種であって…。クローズドサークルだの首のない死体だの、ザ・探偵小説的な条件、状況がたくさん出てくるその意味は?誰の仕業なのか??読後、村人たちのピュアさが何とも切なく感じられた。
2020/12/16
geshi
新本格が生まれる直前の本格探偵小説が失われた時代に、横溝的な道具立て満載で仕掛けたミステリ。因習の村にクローズド・サークルに見立て殺人といかにもな装飾をバラまき、ミスリードしてズラしたアイデア自体は良いと思う。とは言え、登場人物の描写の薄さや「読者への挑戦状」やってる割に伏線の弱さが目についてしまう。サラッと読みやすい反面、引っかかりにくい文章が、やりたい事に合っていない印象。せっかくの2番目の殺人トリックも、手掛かりの一つでも見せておけば納得感増しただろうになぁ。
2018/07/18
えみ
鬼、呪い、祟り…科学で証明できないものほど不可解で恐ろしく感じるのに、惹かれるのは何でだろう。この小説はまさにそんな非科学的で非日常な有り様を逆手にとったような事件が勃発する。ミステリー王道『嵐の山荘』での連続殺人事件。鬼の血族を先祖に持つという伝承が残る人里離れた秘境の地、鬼家荘と呼ばれる村で取材に来たクルーたちに鬼の狂気が次々襲いかかる。伊集院大介シリーズ。シリーズものだと読み初めてから気づいたけれど、問題なく楽しめた。それどころかキャラクターに魅力があったので、全シリーズ読みたくなってしまった、笑。
2019/07/05
タッキー
栗本さんのミステリーを読むのは初めて。取材で訪れた人里離れた村で次々と起こる殺人。そして最後の方には読者への挑戦状も!こういう設定はミステリーファンならワクワクすると思いますが、本作はまさにそれ。個人的な感想は、一人ひとりのキャラクターの深掘りが浅く、良くも悪くも2時間ドラマだったという印象。そのため、せっかくの雰囲気とトリックが損をしている気がしました。でもすごく読みやすく、楽しめた一冊だったと思います。
2019/03/03
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