恩讐の鎮魂曲 (講談社文庫 な 91-3)
恩讐の鎮魂曲 (講談社文庫 な 91-3) / 感想・レビュー
そる
御子柴カッコイイ。信念が貫かれてる。過去殺人犯しているので大声では言えないものの、これだけ弁護で人を救って贖罪しているのだからもう許してやってほしいとも思う。その今の御子柴を形成した稲見教官もまたカッコイイ。稲見の信念は御子柴に確実に受け継がれてる。御子柴が弁護士であることに無力を感じているところへ声をかける意外な人物。まさかの救い。見てる人は見てる。「「でもな。俺に言わせりゃ、動機なんてそんなに重視するようなもんじゃない。(中略)どんなに綺麗事を並べようが、実際に手で血を染めた人間は外道だ。(後略)」」
2020/01/18
イアン
★★★★★★★☆☆☆贖罪の意味を問う御子柴シリーズ第3弾。医療少年院時代の恩師・稲見が殺人容疑で逮捕された。物的証拠も自白も稲見が犯人であることを示す中、弁護を引き受けた御子柴は現場となった特別養護老人ホームにある種の違和感を覚える。冒頭の客船沈没シーンが本編とどう繋がるのか、何故稲見は御子柴の弁護を拒否するのか。「正当防衛」とは似て非なる「緊急避難」という法律用語を始めて知ったが、法廷での舌戦は流石の臨場感がある。前2作ほどのどんでん返しはないものの、最後の一文に御子柴の人間としての成長を見た気がする。
2021/06/19
SJW
冒頭で沈没した韓国のセウォル号を彷彿とさせる船舶事故と犯罪が描かれていて、当時の驚きと韓国の船員たちの忌々しい自己中心的な行動を思い出してしまった。そしてついに弁護士 御子柴の少年時代の殺人が暴露され悪評が拡散するが、そんな時に少年院時代の教官が特別養護老人ホームでの殺人容疑で逮捕される。中山さんが伝えたい不条理は老人ホームでの暴力と、犯罪を起こしても無罪になるかもしれない緊急避難と思う。毎回、隠れた悪があぶり出されて痛快に感じるが、今回は少し微妙。どんでん返しはほとんどないが、驚くことは多かった。
2019/04/23
れみ
御子柴シリーズ3作目。過去の事件を知られ仕事が激減した御子柴は、少年院時代の教官・稲見が殺人罪容疑で逮捕されたことを知り、事件の真相を明らかにし稲見の罪を軽くしようと奔走する…というお話。弁護士は依頼人の利益を優先するものだけど、探り当てた真実が依頼人の利益というか求めるものと必ずしも一致しなさそうな感じは、やっぱり御子柴が「まさかあの人が」という部分の「情」に流されている部分もあるのかなあという感じもしたけど、端から見ているぶんには気持ちがいいくらいの御子柴の有能っぷりを今回も堪能できた。
2018/07/29
辺辺
最初の船沈没事件で暴力で女性から救命胴衣を奪って、自分だけ助かれば良しとするなんとも自己中で自分勝手な考えについていけない。なのに、無罪?暴力反対な私としてはこの判決に大いに不満だ。さて、御子柴シリーズ第3弾。本編は恩師を助けようと熱意もんもんで頑張ってる御子柴。徐々に人間らしさ垣間見える所が良いね。法廷での奇襲に続く奇襲、勝てると思ったら、まさか恩師が潔く殺意を認めるとは、いや、そういう昭和男のカッコ良さが痺れる。それにしても介護ホーム内の虐待の酷いことよ。私がその場にいたら恩師に共感同じ事すると思う。
2024/02/16
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