さぶ (講談社文庫 や 78-1 山本周五郎コレクション)
さぶ (講談社文庫 や 78-1 山本周五郎コレクション) / 感想・レビュー
雲國斎
山本作品のなかでも人気の一冊だそうだが、確かにとても読みやすく、引き込まれた。ぬれぎぬを着せられて、いっとき復讐心に凝り固まり狂犬のようにとがっていた栄二が寄場の仲間との日々で少しずつまっとうな人間の心持ちを回復していく。そして常に彼を見守りはげまし続けてくれるさぶやおすえ、おのぶなど…いやぁ、いい小説読んだわ!
2019/07/17
かな
瀬尾まいこさんの「図書館の神様」の作中に出てきて興味が湧き、初めて山本周五郎作品を読了。 読んで良かった。。。とても感動した。 才気煥発な栄二と愚直なさぶ。話は栄二の成長物語なのにタイトルは登場シーンの少ない“さぶ”。「図書館の神様」でもそれに疑問を抱くくだりが。栄二の才能もさぶが居るからこそ発揮できるもの、自分一人で生きていると思い上がるなよ、どんな人間も独りじゃ生きられないんだよ、という作者のメッセージがタイトルに込められているんじゃないかな、と感じた。
2022/04/17
路地裏のオヤジ
高校時代に読んだ本が懐かしく、思わず図書館で借りた。あの時と違った感銘を受けた。
2018/08/16
だまし売りNo
山本周五郎『さぶ』は江戸時代の江戸で、理不尽に虐げられる貧しい人々を描いた時代小説である。栄二とさぶは小舟町の芳古堂に奉公していた。栄二は才気煥発で、さぶは少し鈍いがまっすぐに生きていた。さぶがタイトルであるが、栄二の物語である。栄二は見に覚えのない冤罪で奉公先を追い出され、真実を確認しようとすると半殺しの目に遭い、石川島の人足寄場に送られた。栄二は復讐を誓う。その復讐心は激烈なものであった。そのために江戸時代版モンテ・クリスト伯と期待したが、違っていた。
2018/09/29
夜盗エメラルド
暴れん坊な上様や先の副将軍も出てこないし、時代小説を読むのは初めてだけど、こんなに面白いのかと感じた。描写が巧みで、かつ読みやすく、鮮やかに情景が描かれた。名場面、名台詞としたいところがいくつもある。 主人公は栄二なのに表題は「さぶ」な辺り、彼にとってさぶが大きな存在だったのだろう。 栄二が人足寄場の仲間たちと出会い、少しずつ変わっていく様がよく分かる。復讐を誓い修羅の道を踏もうとしても、生来の面倒見の良さ、優しさが滲んでくるところが彼の魅力でもあるし、それゆえにヘタレなさぶとの相性がいいのかもしれない。
2018/04/24
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