ロスト (講談社文庫 こ 90-2)
ロスト (講談社文庫 こ 90-2) / 感想・レビュー
ナルピーチ
コールセンターに掛かってきた一本の電話。それは前代未聞の誘拐事件の幕開けを告げるものだった。犯人の要求は百人の輸送役による一億円の身代金。それが意味する事とは…。複数の視点から構成された物語は、場面を頻繁に移し替えながら伏線を張り巡らしていく。翻弄される捜査陣、犯人は誰なのか、その目的とは?多くの謎を残すもこの小説の本質はそこにはない。拭う事のできない“贖罪”を背負い、今迄にどれだけのものを“ロスト”してきたのか。様々な姿を見せていく群像劇。関わる人物達の後悔や苦悩を描いた物語は圧巻の読み応えだった。
2023/07/02
H!deking
めっちゃ面白かった!やっぱり呉さんは最高です。すみません、酔っ払ってますw
2019/12/15
あも
乱歩賞作家が対決する「RANPOの乱」という企画の対象本。地下アイドルが誘拐され、事務所社長と、被害者がバイトをしていた通販コールセンターに脅迫の電話が。警察への要求は100人の捜査員に100万ずつを日本全国に運ばせるという前代未聞の物。前述の社長とコールセンター職員、捜査一課の主任、現場の刑事など複数視点で事件は収束に向っていく。600頁超を読ませる力はあったし、ラストも納得のいく決着と余韻の残る良いエピローグだったが、夢中になれる程ではなかった。人の命を奪っておいて贖罪など結局不可能なのかもしれない。
2018/06/11
bibi
新型コロナのニュースに振り回され、読書に集中できないこの頃。600ページを超える長編。身代金1億円を要求する誘拐事件。しかも、有名人でもない一人の女性の誘拐や百人の警察官に百万円ずつ運ばせろ。今までにない展開で、興味を持てる登場人物。じっくり没頭して読みたかったなぁ。
2020/03/10
しーちゃん
序盤から度肝を抜く。コールセンターにかかってきた誘拐の脅迫電話。身代金は1億円。それを百人の警官にひとり百万ずつ持たせろと。誘拐された女性はアルバイトで天涯孤独。果たして1億の価値があるのか、犯人の目的は。捜査官、コールセンターの責任者、謎の芸能事務所の社長と、目まぐるしく語り手と場面が変わるが、女性の背景が徐々に明らかになるにつれ、壮大な復讐劇だと気がつく。主要人物の過去も重く辛い。暴力の応酬では何も解決しない。赦すことができるのもまた、人間だから、なのかもしれない。読み終わり、ため息が出た。
2024/07/10
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