スマイルメイカー (講談社文庫 よ 38-6)
スマイルメイカー (講談社文庫 よ 38-6) / 感想・レビュー
しんたろー
3組のタクシー運転手と乗客が繰り広げるチョッとコミカルでチョッとシリアスでチョッと泣かせる物語…『グッバイ・ヒーロー』や『チェインギャングは忘れない』と同じ系譜の横関さんらしい作品だった。ご都合的な部分は散見するが、人物の個性・テンポ好い会話・巧い場面展開の3点セットでサクサク読ませてくれた。ラストで明かされる舞台設定は「必要?」と疑問に感じつつも笑えたし、ハートウォーミングな結末も好き。重いテーマではないし、残虐な殺人もないので、気軽に楽しめるライトミステリを探している人にはオススメできる良作。
2018/07/17
タイ子
客が降車する時に笑顔でがモットーのタクシードライバー五味省平。でも、自分はある事があってから笑えない。ある日、13歳の少年が乗車した時から五味の人生が少し変わり始める。乗車料金がないといって少年は近くのブランドショップに入りいきなりの強盗。タクシーは走る、謎の少年を乗せて。仲間のドライバーたちもそれぞれの客を乗せながら走る。が、そこにはある事情を抱える者たちばかり。張り巡らされた伏線が回収されるさまはお見事!何よりえっ?!と思ったのはラスト数ページ前。そしてラスト一行に泣かされる。
2019/06/15
まこみん
小段落にタクシーのシルエット、主人公含めて登場人物達が其々に予定外な出来事に巻き込まれていく処、時系列に注意な処等、伊坂さんの雰囲気に似ています。家出少年の言動に初めは苛ついたけれど、実はスマイルタクシーの五味との重要な接点があって…ラストでちょっと?!騙されてた?そういえば感で、あちこち再読して確かめた。
2022/07/24
オーウェン
客を笑顔で降ろすのが信条なタクシー運転手の五味。そこへ乗り込んできた子供はまさかの誘拐で金をせしめてしまい、2人は逃亡の身となってしまう。もちろん意図があっての子供の行動なのだが、それと並行して合計3台のタクシー運転手と客のやり取りが描かれる。中盤辺りで秘密をばらすのだが、それが更に終盤に向け合流していく流れ。 伊坂さんの陽気なギャングを思い出したが、伏線が至る所に忍ばせている。 構成が面白いのだが、五味や景子の関係まできっちり明かされていく。 でも一番笑ったのは居酒屋のトムの呼び捨てだったりして(笑)
2023/02/25
mr.lupin
読了本888冊目のキリ番の登録は横関大さんの作品。五味の運転するタクシーは、客に笑顔で降りてもらうため、最大限の努力を払う「スマイルタクシー」だった。そんな五味のタクシーに一人の少年が乗車してきた。三人のタクシードライバーとその乗客達。読み進めるうちに徐々にリンクしていく。そして全てが繋がった時には、爽快な謎解きをしたような読後感を十分に味わう事ができた。横関さんの作品は、ホントに緻密な計算をしたような作品でメッチャ楽しむ事ができるな。 ⭐⭐⭐⭐⭐
2022/10/30
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