終わった人 (講談社文庫 う 26-19)
終わった人 (講談社文庫 う 26-19) / 感想・レビュー
W-G
なかなか沁みる読書だった。男性主人公で、さらに一人称語りであるため、作者の他の高齢者小説とはかなり味わいが異なる。容赦なく主人公壮介をぶっ叩きにかかっていて、女性作家だからこそのシビアな評価に読んでいてこっちまで痛くなる。仕事で挫折した経験も、長く勤め人をしていれば誰しもいくつかはあるだろうし、完全燃焼して定年を迎えられるかは私も自信がない。だからといってここまで派手にやらかすこともないだろうが、正直に感想をいえば千草の後半の態度には嫌気を催した。それだけ感情移入していたということだろう。
2023/12/13
おしゃべりメガネ
深い深い話でした。主人公のようにエリートではありませんが、自分が定年退職を迎えたらどうなるのかと色々と考えさせてくれる作品です。やはり連れ合いとの関わり、接し方が色んな意味で’課題’になるのかなと。本作は夫側からの目線で読むのと妻側からの目線で読むのとでは、全く感想や共感ポイントが変わってくるのではと思います。また読むタイミングや境遇によっても、様々な思いが残るでしょうね。いずれにしても、退職してから連れ合いのコトや家族のコトをあれこれ考え、気遣い始めるのはトキ既に遅しというコトをしっかりと学びました。
2018/07/07
あきぽん
エリートの定年後の迷走。こういう方は、縦社会の「上」で居続けたものだから横の人間関係を築くのが苦手だし迷走も遅すぎるようにみえる。立派な学歴・職歴・家庭・健康をもった60代も煩悩の塊。多分、人間、死ぬまで煩悩から逃れられないんだろう。
2020/06/10
chiru
「定年って生前葬だな…」 定年後の波乱万丈を描く、現代版「生きる」のような物語。大手銀行の出世コースから外れ定年退職を迎えた壮介。毎日することもなく、働きたくても職がなく、これといった趣味もなく空回りの日々。第2の人生のため大学院を受験しようとしたり、ほのかな恋をしたり…「俺はまだ終われない」と頑張る壮介をいつのまにか応援してしまう。年齢なんて問題じゃない。何かに夢中になっている姿は、いくつであっても素敵に見える。そんな60代はすごくカッコいいと思う!! 「思い出と戦っても勝てない」にわたしも共感✨ ★5
2021/09/04
TAKA
「職場と墓場の間で、刺激的なことのある人生こそが面白いんだ」恋なんてものは十代でも二十代でも生きてるついでにするもの。刺激的なことなんてそうあるものじゃないぞ。強烈なことはそうとうあるけれど。定年後のんびりするとかいってる人いるけどこれ読んであれは見栄だと思った。終わった人っていうのはあまり好きじゃないな。いずれ自分も行く道ではあるんだけど。老後の為に溜め込んだとしても先のことなんてわからないのが事実。それなら楽しく過ごせる方を選ばないとね。エリートならではのプライドなんて俺にはわからん。
2021/09/28
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