池田屋乱刃 (講談社文庫 い 124-10)
池田屋乱刃 (講談社文庫 い 124-10) / 感想・レビュー
のり
激動の幕末の中心で志を高く持ち、本気で日本を変えようと命を懸け散っていった男達の生き様。幕府の統率力は落ち混乱の世に…尊皇攘夷、外敵、難局ばかり。互いの言い分も立場によって違う為に、歩み寄る事は困難。「池田屋事件」を境に多くの血が流された。後世の礎を築く為に種子になるべく熱く生き抜いた男達の勇姿が脳裏に焼き付く。
2019/01/08
アイシャ
新選組からではなく、不逞浪士とされた側から描く池田屋事件。池田屋事件の見方が大きく変わった。ここで亡くなった武士の中には、国防を憂えてなんとかしようとしていた者や幕府と長州の橋渡しをしようとしていた者もいた。何人もの逸材が亡くなったんだなぁ。特に印象深かったのは維新の英雄となった桂小五郎が、自分の死を前にしてかつて見下していた同僚に池田屋での真実を告白する話。武士って、本当に不自由な生き物だ。
2020/02/14
如水
幕末、尊王攘夷→倒幕の転換期の一つとして挙げられる池田屋事件。日本でも一二を争う記憶に残る屋号ですね😆その池田屋で散った側の人物達をベースにした短編集+生き残った木戸孝允の1篇となってます。キーワードは『古高が捕縛された』。其処から漏れる其々の思惑、主張、行動、結果が複雑に絡まり、そして、最後章『英雄児』で描かれる木戸孝允=桂小五郎の激白は…そなのね💦そしてそれを聞いた長州元京都留守居役だった乃美が取った対応は…『綺麗に纏まりました👍』そんな内容です。結局尊皇て何やねん?と言う方にはオススメです。
2022/04/11
サケ太
何度読んでも面白い作品。池田屋事件を志士側から描いた新鮮さはもちろんの事、あまり著名(全員がそうでもない)ではない彼らが何を考え生きてきたのか。この本を読む前は、池田屋で斬られるだけであった彼らの熱い魂が胸を打つ。連作短編であり、それぞれの話は独立しているものの、それぞれの視点から描かれる同一人物(乃美織江や桂小五郎)が興味深い。熱い幕末から後悔し続けてきた男の独白。時代を変えようとした男たちが確かに生きていたとその熱さをもって理解できる作品。
2018/08/10
maito/まいと
文庫版再読。最新の研究を基にして、通説で言われている池田屋事件を覆す意味合いと構成を、がっつり取り入れた作品。幕末が今様々な角度で見直されているが、池田屋事件は、まさにその筆頭。後世で色づけされた桂がラストのような後悔を持って生き続けたのかどうかは想像に任せるしかないが、当時の長州藩が強硬派と音便派との攻防で混乱していたこと、桂をはじめとした京都長州メンバーは通説で言われている単純な色分けで構成されていなかったことは、忘れてはいけないなあ。
2018/07/11
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