袋小路の休日 (講談社文芸文庫ワイド こA 1)
袋小路の休日 (講談社文芸文庫ワイド こA 1) / 感想・レビュー
阿部義彦
古書市にて購入、こちらは講談社文芸文庫のワイドです。連作短編小説集となり、主人公は全て上村宏と言う、雑文書きでテレビの脚本なども請われれば書く何でも屋。明らかに若い時の著者の姿を彷彿とさせる男です。最初の「隅の老人」だけは既読でしたが、まとまって全ての短編を読むと、満足感に溢れています。あの時代の東京から失われたものたち(人、建物、風景、路面電車等)が、確かな批評眼により流れて漂白されます。解説が色川武大と坪内祐三と言う今となっては亡くなってしまったうるさ方お二人なのも、相応しいです。
2024/05/06
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