蟲師 (7) アフタヌーンKC (404)
蟲師 (7) アフタヌーンKC (404) / 感想・レビュー
眠る山猫屋
七巻は、ちょっとフォールンな味わい。何かに魅せられ、或いは何かに立ち向かうために、暗い闇の底を覗きこんだ人たち。ギンコのように迷い込み歩み始めた者もいる。『花惑い』の虚しさは切なさと紙一重だし、『鏡が渕』の切なさは、乗り越えてしまえば明るいものにも変えられる。『棘の道』の残酷さは、じっくり読み返してみると幽かな希望が垣間見えてくる。『雷の袂』だけは、厳しい現実・変えられなかった事象を描いているので、寂漠とした結末だが、個人的にはこのイニシエーションの物語が気に入っている。
2016/12/14
キジネコ
「別れをば 山の桜に まかせてむ 留とめむ留めじは 花のまにまに」(古今393)美しい桜を見上げるギンゴ、7巻も哀切な物語が籠められました。樹木としての桜、年ごとに花を咲かせ花を散らす、永遠を夢想し人とは違う生の時を過ごし、ひとの思惑とは無縁の筈の美を体現する。落花と別れをうたった幽仙という方のうたを思いました。ひとの姿をとどめつつ別の役割を担ってしまう生ける、美しい骸。子を愛せないことの哀しみだけが親子の従帯と泣く女、世界の闇の暴走を食い止める男の孤影、ただ実体が欲しいだけ…とすり寄る蟲は吾等の半影。
2017/09/09
トリオネア
アニメでも面白かったけど、漫画で読んでもやはり面白い。蟲師の仕事大変そう。この巻では棘のみちが興味深いけど、一番好きな話は花惑い。ちょっと昔の咄では、狐や狼の話が。私の母も腹を空かせた狸に騙された事があるらしく、祖父も高入道(ぬりかべ?)というものに朝まで帰してもらえなかったりという話を聞いた事があるので、嘘か真か知らないけど昔は不思議や浪漫があっていいなと思う。
2019/05/12
まりもん
借りて読了。懐かしいキャラが再登場してくれて読み応えがあった。
2012/01/23
ぐっちー
【再読 蟲のセカイ】一方通行の思いの哀しさが滴る第七巻。桜の接木するエゴ、自分を忌避する母への思慕。『鏡ヶ淵』のシリーズ内では珍しいヒロインと展開の鮮やかさに救われた。『棘の道』 魂が抜けたところに人工のそれを入れるという発想にドキドキ。探幽さんやギンコと関わり、少し人間らしくなったか。そもそも魂がなくても人間ということでいいのかな。禁種の蟲やら天変地異やらのワードが登場。
2016/09/24
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