さくらん (イブニングKCDX)
さくらん (イブニングKCDX) / 感想・レビュー
nonpono
遊郭物が好き。吉原の吉原神社も参拝したし、今年は芸大の大吉原展を見るために東京へ旅した。安野モヨコが吉原を描くと聞き、驚いた。花魁道中、そして絢爛豪華な吉原の世界を安野モヨコが描き出す。ここは苦界、泣いたら負け、いやそれ以上に、惚れたら負け、いやそこから先は地獄が待っている。業火に包まれようが、出逢っちゃったんだもの。吉原からあなたを探しに行ったあちきをそんな冷たい目で見つめるなんて。恋なんてまやかし。 また、あの地獄に逆戻りだ。だけど、あなたの真実を知り、全てを受け入れる覚悟だけはできたよ。最後の意地。
2024/07/27
明智紫苑
安野モヨコ氏の漫画は、他にも未完作がいくつかあるようだが、ひょっとして、永井豪氏や本宮ひろ志氏のような自分自身の気まぐれのせいじゃないよね!? 漫画って案外、読者からの不人気以外にも打ち切りの理由があるらしいし、他にもやむを得ない事情があるのだろう(岡崎京子氏の『ヘルタースケルター』のような本当にやむを得ない事情もあるし…何しろ、あちらは事実上引退だし)。この巻で第一部完結だけど、第二部が描かれる可能性は多分低いだろう(確かあの『スラムダンク』も第一部完結という体裁だったような記憶があるが)。
2021/05/18
リッツ
数年振りに再読。本当に日本に昔こんな世界があったのかと感嘆。作者の力量で見せ場が大きく広がる。貧しさや身寄りがなくて売られる少女たち。主人公は己が望まずともその器量と張りで花魁までのぼりつめる。型にはまらない美貌で人気絶頂の花魁だったが、初めて恋をした男に会いに大門の外へ抜け出す…この後に続く再会のシーンは恐くて切なく胸にズンとくる。豪奢で哀しい世界に再び帰った彼女は一皮剥けて大きく華咲くのだろうか。この作品映画も凄く良かったと記憶してます。
2024/07/17
トラシショウ。
吉原の遊郭で昼夜金二分の座敷持ちとして廓のNo.3に君臨する売れっ妓・きよ葉。その幼少期から遊郭で過ごす少女時代を経て、やがて一人前の花魁となるまでを彼女の回想と言う形で描く、遊郭、風俗の点描作品。好き嫌いの分かれる作者の絵柄の中でも特に好みの分かれそうな、平たく言うと苦手な方だし、ヒロイン・きよ葉の造形も正直あまり感情移入とかも難しい造りなんだけど、気がつけば夢中で読み終えていた。体調不良に伴い未完との事だけど、要所要所のモヨコ流現代語訳な解釈を含め全1巻できっちりとまとまっている(以下コメ欄に余談)。
2017/10/28
つーこ
華麗に着飾る分だけ、心の寂しさも人一倍なのでしょうね。だからこその「色がなければ生きてはいけぬ」というセリフ。結構私はグッときました。切なさもあの余韻を残す終わり方も。
2011/05/17
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