餓狼伝 7 (アッパーズKC)
餓狼伝 7 (アッパーズKC) / 感想・レビュー
半木 糺
板垣はおそらく「母性」なるものを一貫したテーマとして持ち続けている。この世で最上の愛は母が子に向ける愛であるが、それはひたすら与え続ける、見返りを必要としないものである。ただひたすら与えられる愛とは何なのか。その命題へのひとつの答えとしてサクラは存在している。「贈与」と「陵辱」。どちらが「愛」の本質なのであろうか。
月光密造者
サクラの怪人ぶりが堪能できる一冊。両眼を抉った母親に喜んで貰おうと、ピエロを演じ続けて、出来上がった筋骨逞しい肉体。泣くことを禁じられた強靭な体。作者が繰り返し描くマザーコンブレックス、報われね母への愛の中で、最も感情移入した。
2012/04/14
やいとや
丸々一巻巽対サクラ。中弛みさせない凄い密度でグイグイ読ませるのは流石。巽の力王山への制裁、サクラの母親への思慕がそれぞれの強さのバックボーンになっている、という過去編の織り混ぜ方が上手い。サクラの母親を一回掬い上げてドン底に叩き落とす富豪の男の邪悪さが素晴らしい。母親は死の瞬間まで男を待っていて、キチンと身なりを整えていた、と窺わせる洋服の描写が悲しい。
2024/01/13
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