Boichi作品集HOTEL (モーニングKC)
Boichi作品集HOTEL (モーニングKC) / 感想・レビュー
烟々羅
2009年の日本語SF傑作選「調弦領域」収録「全てはマグロのためだった」が契機で。ほかに三篇の本編、それぞれに対のき下ろしで三篇のショートギャグ各2頁、一篇のフルカラー14頁を含む。本編では「マグロ」だけギャグ混じりで、類似テーマで代りに詩的が表題作。独メ先行読者にはこの二作の評判がよい。 わたしは甘々の恋愛好きなので二篇目「PRESENT」が好み、ドンデン返しは途中で読めていたにも関わらず、頁をめくり返し、伏線を味わって涙にじむほどに。 14頁カラーのせいでB6版のくせに値段高いよ、レジでびっくりした
2013/07/24
緋莢
『Dr.STONE』作画でお馴染みの著者の作品集。5編と描き下ろし「short SF」4編が収録されています(「全てはマグロのためだった」は『超弦領域』に収録されているものと同じです)表題作は気温と海水の上昇で地球に人間が住めなくなることが確定。DNA保存のために作られた塔を守るAIの話。壮大な時間の中で、自分を作った博士と名前をくれた女性を父さんと母さんと呼び、彼らから与えられた任務を全うしようとする姿に胸打たれました(続く
2018/11/02
unknown
地球上の人類が滅びて後も、種の保存という<支配人>の職務を果たすため、久遠の時の流れに抗い、自律し、建ち続ける塔<ホテル>を描く表題作と、マグロに全てを捧げた男の人生を四転五転する怒涛の展開で描く、笑いと感動の「全てはマグロのためだった」がピカ一。圧倒的スケールへ至るプロットと抜群の画力による相乗効果が遺憾なく発揮され、理屈抜きにSFの醍醐味と言葉に出来ない感動を味わえる。アーサー.C.クラークに影響を受け、SF漫画を描くために大学で物理学を専攻したというBoichi氏のアツいSFマインドも存分に感じた。
2013/01/25
mt.gucti
全てはマグロの、ためだけだったSFが凄い。表題作のホテル、というよりバベルの塔が過ごした果てしない時間と、そこまで「残った」奇跡。画力に色彩の妙に、絵画のような塗り分け。この圧倒的実力で描かれる果てしない時のファンタジーはともかく凄かった。ため息ものです。
2015/08/29
酔花
例えば「それから1万が経った」と言うは易いが、そこに時の痛みがあるか否かで物語の重みが大きく左右される。表題作「HOTEL」は数多の生物のDNA保護を担うホテルの支配人〈AI〉ルイの孤軍奮闘を描いた傑作。環境の変動、天文学的な不運などにより確実に崩壊しつつある中、両親との約束を果たすため、時の痛みに耐えるルイを待つものとは。「全てはマグロのためだった」はギャグSFであることは間違いないが青い海を泳ぐマグロの群れに感動が瞬間最大風速を記録。泣ける。「Stephanos」は巧みに仕込まれた伏線にうならされる。
2014/05/23
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