押し入れ (KCデラックス)
押し入れ (KCデラックス) / 感想・レビュー
HANA
著者の作品にはとても恐ろしいものが多数ある。「私の人形はよい人形」や「天人唐草」は以前読んで震え上がったものである。本書はそんな趣の話を四編収録。どれも特徴的で著者の多才ぶりを示す一冊となっている。もう冒頭の「夜の馬」の不穏さで、最初から本の内容に引き釣り込まれる。あえて結末を書かない事により、逃げ場がない事を暗示するラストがとても嫌。実話ものである表題作は部屋を巡る怪談だけど、多少ありきたりにも思えてしまうなあ。とあれ「夜の馬」「雨女」といった結末を書かずこの後の地獄を暗示するのがとても気に入りました。
2023/07/04
コットン
山岸涼子作品を始めて読む。短編アンソロジー集で中では『メディア』が興味深い。オーブリー・ビアズリーの絵を好まれているようで、そんな感覚の片りんはつかみ取れたと感じた。
2017/09/30
小夜風
【所蔵】再読。「夜の馬」「メディア」「押し入れ」「雨女」収録。全て実際にあった事件を元にした話らしいです。「夜の馬」は薬害エイズ事件。「雨女」はロス疑惑事件。どちらももう本人が亡くなっていますが、今どんなところに居るんだろうと思うと、ゾクッとします。「メディア」の母親は何て酷い…醜悪で吐き気がします。「押し入れ」は怖い…。私は押し入れの隙間が大嫌いで、少しでも開いていたらピッチリきっちり閉めます。それが開いていたら…(怖)。
2013/11/30
ビスケ
「メディア」がいつまでも心に残った。子供に依存する母親と、母に気を遣い、意見をハッキリ言えない娘。ある意味誇張された母娘関係なんだけど、もしかしたら多くの人に思い当たる部分があるのかもしれない。山岸凉子って、人間関係の怖さ、哀しさを描くのがやっぱり抜群に上手いと思う。
2009/04/03
太郎丸
依存や支配欲、自己憐憫といった人間がごく当たり前に持つ心理がどんな恐ろしい結果に繋がりうるか、ということを極めてリアルに描写しているという意味で現実的なホラー漫画。怪談的な話や幽霊譚も含まれているが、非現実的に感じる描写がひとつもないから恐ろしい。ガクブル
2020/02/29
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