ヒミズ 下 新装版 (KCデラックス)
ヒミズ 下 新装版 (KCデラックス) / 感想・レビュー
多田幾多
「頑張れよ!オイ、頑張れよ!」住田と茶沢の、希望に満ち溢れた未来を語った後の、住田が最後にとった行動が衝撃だ。これが、住田が選んだ未来、運命なのか?だとしたら、頑張れよ。おい、頑張ってくれよ・・・・。
2013/06/01
ぐうぐう
内なる魔は、自身を浸食し、外部へ伝播し、そして拡散していく。善と悪、幸運と不運、成功と失敗、生と死……。自覚的にしろ無自覚にしろ、私達はそんな境界線の上をふらふらと歩いている。どちらの側からも手が伸び、ふらふらする私達を引き込もうとする。ラストを読むまでもなく、『ヒミズ』はとても挑発的な漫画と言える。この挑発に、乗るか拒絶するか、はたまた呑まれるか、それは読む者の自由だ。読者は古谷実に試されている。私達が、この世界に試されているのと同じように。
2012/01/13
ふりや
古谷実さんは自分なりの『罪と罰』を描きたかったのかもしれない。住田の犯した罪と膨れ上がる被害妄想、そしてそれに全力で寄り添う茶沢さん。しかし、ドストエフスキーのかの作品のラストと180度反転したような、まったく希望も救いも無いエンディング。宝くじの一等を当てるように不幸を引き当ててしまう人がいるという現実を容赦無く突き付けてきます。そのリアルさゆえの痺れるような読後感。上巻の早い時点で架空のバケモノが見えてしまった時点で、住田の運命は決まっていたのだろうと思います。「結局何だったんだ…オレの人生は?」
2020/06/30
白義
極めて不気味で濃厚な「偶然と運命の手触り」を感じる作品だった。住田が住田として生まれてきたことに何一つ必然などないし、その生はもっとよきものであり得ただろうに、しかし住田は住田として生まれた瞬間からこういう人生を歩むことを運命付けられていたように思える。確かに住田は最底辺だが、まだ再起のチャンスは少し客観的に見ればあった、ように見えるかもしれない。しかし、そういう幻想が一瞬で壊れる、露骨な現実界こそ、あの化け物だったのではないだろうか
2012/09/27
ウィットニー
胸が痛くて苦しくなる。それがとても好きです。
2014/05/10
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