大江健三郎全小説 第2巻 (大江健三郎 全小説)
大江健三郎全小説 第2巻 (大江健三郎 全小説) / 感想・レビュー
おたま
第2巻では、長編として『遅れてきた青年』を、短編として『報復する青年』『勇敢な兵士の弟』『後退青年研究所』の3作を読んだ。全体としては、前作『われらの時代』を引き継ぎ、1959~61年頃の青年の閉塞状況を捉えようと、様々な局面から描いている。『遅れてきた青年』は、第1巻の『芽むしり仔撃ち』と『われらの時代』とを、この時点において統合しようとしていたと思う。大江健三郎自身はこの作品を「失敗作」としているが、初期の大江作品のモチーフが流れ込み、縒り合されている。時代の底の底まで降りてみようとしていたようだ。
2023/02/23
ぐうぐう
ここにいる青年達は皆、世界に裏切られている。「共同生活」での四匹の猿に監視される青年も、「孤独な青年の休暇」における下宿の賄人の娘を妊娠させてしまった青年も、そして『遅れてきた青年』のまさしく戦争に遅れてしまった青年も、皆が皆、世界に裏切られ、絶望を抱えているのだ。しかし大江健三郎は、青年達に解放という展開を用意しつつも、実はそれこそが世界の真の裏切りであることを彼らに知らしめる。「堅固にとざされた二重窓の外で、暑い現実世界はひっそりし沈黙して光にあふれていた。(つづく)
2024/11/08
riko
暗黒時代
2023/12/12
柊詩音
「ここより他の場所」「共同生活」「報復する青年」「勇敢な兵士の弟」「孤独な青年の休暇」のみ読了。1巻では戦時中が舞台である作品が多かったが、2巻からは戦後の作品が増えてくる印象を受けた。「報復する青年」の部屋(=壁の中)に自ら閉じこもる心理の巧みな描き方は、さすが大江だと感じた。「共同生活」の設定が強烈でしばらく忘れられそうにない。
2021/06/24
Taku Kawaguchi
遅れてきた青年 は面白かった
2020/04/24
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