大江健三郎全小説 第8巻 (大江健三郎 全小説)
大江健三郎全小説 第8巻 (大江健三郎 全小説) / 感想・レビュー
かふ
『同時代ゲーム』は別に書いたので今回は『M/Tと森のフシギの物語』の感想。Mはmatrianrch(女族長)の意でTはtrickster(トリックスター)の意。『同時代ゲーム』より整理されてはいるのだろうが、登場人物の特異さもあって物語は複雑だ。フォークナーの息子たちというように、サーガとしての物語(マジックリアリズム)。そして一冊の本の中で閉じられる話でもなく、胞子のように種をばらまくのだ。それが日本だけではなく世界文学として認められたからノーベル文学賞を受賞したのだろう。
2023/06/02
ブルーツ・リー
「同時代ゲーム」とそのリライトと呼べる「M/Tと森のフシギの物語」の2作品が載っている巻。 同時代ゲームに関しては、当時から失敗作との話も出ていたようで、読みづらい。水ぶくれしたように、ただただ、長い。 一方の「森のフシギ」に関しては、非常に読める。 大江健三郎程の作家になっても、リライトをすると、ここまで作品が良くなるのかというくらい、見違えるような出来。 特に中間の神話を挟んでの、前後半部分に当たる、フィクションの部分が、全く出来が違う。 思想性をそのままに、「読める」作品にリライトされていた。
2022/03/01
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