筒井康隆入門 (星海社新書 115)
筒井康隆入門 (星海社新書 115) / 感想・レビュー
さらば火野正平・寺
十代の頃の私が最も影響を受けた人間の一人は間違いなく筒井康隆である。断筆宣言までのカリスマ的な存在感は今も覚えている。SFは好きになれなかったが、筒井康隆の影響でたくさんの啓蒙をされた。断筆解除後はろくに読んでいなかったが、それが不明であったと痛感。本書は筒井作品を時系列に紹介。当時の事情や事件等を交えながら読み解いてゆく。私がほぼ読んでいない断筆解除後の作品も詳細に論じてあり、久々に筒井小説が読みたくなった。本書で紹介される作品群を見ても、筒井康隆が明らかな天才であるのを改めて思い知らされる。お薦め。
2018/11/14
keroppi
私は、筒井康隆全集始め多くの単行本を蔵書し、ほとんどの著書を読んでいる大の筒井康隆ファン。その多くを網羅し、年代順に論じていく本書は、筒井さんの魅力を的確に伝えている。猛烈に、筒井さんの本を読み返したくなってしまった。
2017/10/28
Carlyuke
筒井康隆は若い頃面白がって少々読んでいた作家。最近では「聖痕」以外どんな小説を書いているのかはあまり知らなかったが, 「モナドの領域」についてなるほど, こんな雰囲気の話かと多少のイメージを得ることができた。メタフィクションとかパラフィクションについての説明があり, 実験的な作品を書く作家であり続けたことを改めて確認・知る。個人的には言葉で遊ぶ辞書のパロディ系, 悪魔の辞典の翻訳本などの積読本を読んで行きたい。「筒井康隆自作を語る」も読了したい。
2019/02/10
阿部義彦
実に読み応えが有りました。筒井康隆の文学的転機ともなった問題作を初期から順番に読み進み、この世界に類を見ない鵺のような小説家の変遷、野望、挑戦等などを歴史とともに解き明かします。著者の佐々木敦さんと同様に私も筒井康隆の一番のお気に入りは「虚人たち」なので、凄く相性も良かったですし初期の傑作として「脱走と追跡のサンバ」も重要作として取り上げてます。短編集にはここでは触れませんが、「夢の木坂」「文学部」「パプリカ」「残像に」近年の「ダンシング」「繁栄の」「世界は」そして「モナド」未読の「漸然山脈」まで。満腹
2017/09/30
梟をめぐる読書
いま「筒井康隆」を論じるにあたって、恐らく最良の人物によって書かれた入門書。新書サイズの解説書でありながらデビュー作「お助け」から『モナドの領域』までをカバーし、さらには名作の影に隠れた中短編まで網羅するという大変な労作になっている。「SF作家」としての登場から「超虚構理論」の提唱、そして「断筆宣言」に至るまで、筒井康隆はまるで仮面を付け替えるように時代に合った「筒井康隆」を演じ続けており、膨大な作品や資料からその真意を探ることは容易ではなかったはず。筒井康隆を“GOD”と崇める著者の愛あってこそだろう。
2017/09/29
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