群像短篇名作選 2000~2014 (講談社文芸文庫 くK 3)
群像短篇名作選 2000~2014 (講談社文芸文庫 くK 3) / 感想・レビュー
踊る猫
近年の作品が主なので、往年の文豪が書いたものと比べると見劣りがするのはまあ、ご愛嬌と言うべきか。ただ、古井由吉は流石で、連作短編集を読んでみたくさせられた。あまり期待していなかった作家も(失礼!)、この流れで読むと興味深い。ただ、くどいが既刊の二巻と比べるとイマイチ……しかしこのアンソロジーを世に問うた意義は積極的に評価したいし、これからも折に触れて読み返す一冊になりそうだ。『群像』出身の作家といえば村上龍が思い浮かぶのだが、彼をセレクト/チョイスから外したのは意図的なものなのか? そのあたり考えると深い
2019/07/17
かわうそ
現役バリバリの作家の近年の作品が中心なので、わざわざ高いお金を出してこの本で読むこともないという説もありますが、まあ3分冊の2冊目まで読んじゃったし、こういう機会に新たな出会いもあるし…。という話はさておき、お気に入りは村田喜代子「鯉浄土」、堀江敏幸「方向指示」、小川洋子「ひよこトラック」あたり。
2019/04/30
メタボン
☆☆☆☆ 淡々としているが読ませる文章「父、断章・辻原登」、女性との謎めいた邂逅「丸の内・黒井千次」、飄々とした鯉コク「鯉浄土・村田喜代子」、たくましい母「ロック母・角田光代」、戦争の記憶「白暗淵・古井由吉」、ラストが鮮やか「ひよこトラック・小川洋子」、行方不明者の癖「方向指示・堀江敏幸」、相変わらずのドタバタ「ホワイトハッピー・ご覧のスポン・町田康」、ピアノレッスンの風景「アウトサイド・本谷有希子」、マイホームを手放した悲哀「お花畑自身・川上未映子」、記憶喪失と死の関連「45゜・長野まゆみ」。
2019/03/08
Shimaneko
タイトルに偽りなしの名作短篇集。村田喜代子や古井由吉、本谷有希子、川上未映子、津村記久子、藤野可織、川上弘美など、もともと好きな作家たちはいずれもハズレなし。加えて、誰とは言わんが相性の悪い作家とはやっぱし合わないことを再確認。それにしても文庫なのに2300円って、あまり小説を読み慣れていない若年層には手を出しづらい価格だよなぁ。そこらへんのレイヤーにこそ読んでもらいたい同時代の豪華ラインナップなのに。
2023/04/27
くさてる
さすが名作選だけあって既読のものも多かったけれど、それだけ読み応えのあるアンソロジーだった。言葉の一つ一つが武器となって研ぎ澄まされているように思える作品が多く、ため息が出る。既読ではやはり古井由吉、川上弘美、町田康、筒井康隆の作品が素晴らしい。初読のものでは、本谷有希子と黒井千次が良かった。
2020/03/14
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