瑕疵借り (講談社文庫 ま 73-20)
瑕疵借り (講談社文庫 ま 73-20) / 感想・レビュー
三代目 びあだいまおう
松岡先生の大ファンを自称する私にとってもなかなか珍しいテーマでした。『瑕疵』という言葉自体、不動産や特定の業界以外では余り耳にしないのでは?いわゆる事故物件、訳あり物件のこと。殺人事件が起きた家等、怖くて住みたくないと思われる瑕疵物件を敢えて借りて住む男、藤崎がキーマンの短編集。怪しい雰囲気と怖さが漂う気がしますよね❗この作品は全く違います。確かに不幸や不運などが瑕疵に影響しているが、関係者の誰もが藤崎と接することで辛い過去や諦めの人生と決別し一歩を踏み出す再生ストーリー!優しく残る余韻が心地よい‼️🙇
2019/07/10
馨
短編集。イメージとは違っていましたがまあまあ良かったです。昔不動産営業をしていたので瑕疵物件のことは習いましたがこんなからくりで瑕疵物件の質の緩和をしてくれる瑕疵借りががいるとは知りませんでした。藤崎さんの冷静な状況把握はただの瑕疵借りにはありえないけれどよよく出来た話だと思います。最初の『土曜日のアパート』が1番感動しました。
2018/08/05
いつでも母さん
事故物件とは聞いたことがあったが、なるほど瑕疵借り。賃貸ミステリー短編4話。それを生業にしている藤崎の存在は、不気味だが必要でもあるね。きっと無表情な男なのだろうな・・けれど優しくもある。今日もどこかの訳け有り物件で瑕疵借りを務めているのだろうな。4話とも切ない話だった。
2018/06/13
ひさか
2018年5月講談社から、単行本と文庫の同時刊。書下ろし。4つの連作短編。瑕疵物件となった部屋を借りていた人物の事情を明らかにする賃貸ミステリ。話の展開に少し不自然さを感じましたが、個性的な登場人物たちだとこういうのもありですね。楽しめました。
2018/09/11
utinopoti27
瑕疵借りとは耳慣れない言葉ですが、いわゆる事故物件にあえて住むことで、告知義務を消滅させる裏工作だそう。本作は、瑕疵物件に住む主人公の藤崎が、部屋にまつわる心理的瑕疵と人間関係のアヤまでをきれいに浄化するというストーリー構成となっています。ささやかな謎解きミステリが絡む「百尺竿頭にあり」を始めとした4つの短編は、いずれも家族愛や人間愛が奥に秘められていて、藤崎の思いやりに満ちた洞察力が心地よいのです。娯楽性の強い作品から、人間ドラマを深く掘り下げる作品まで、芸風の広がりを感じさせる作者から目が離せません。
2018/07/15
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