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噛みあわない会話と、ある過去について

噛みあわない会話と、ある過去について

噛みあわない会話と、ある過去について

作家
辻村深月
出版社
講談社
発売日
2018-06-14
ISBN
9784065118252
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噛みあわない会話と、ある過去について / 感想・レビュー

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starbro

辻村深月は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。イタい過去を引き摺る人々の少しホラーな短編集、頁数の割にはずっしりと心に澱が残ります。息詰り感、ゾッと感の畳み掛けが見事でした。オススメは、『早穂とゆかり』です。

2018/07/07

zero1

猟奇殺人のグロはないが、人が持つ内面の黒さで背筋が寒くなる一冊。【話せばわかる】は幻想で、分からないのが現実?無意識に人を傷つけた可能性に多くの読者は自らを省みた?しかも悪意が無いところがさらに傷を深くしている。「パッとしない子」と「早穂とゆかり」は行間から棘が出ていて痛かった。「ママ・はは」は【子育ての正解】を問うが、味付けがいかにも辻村。【淘汰】の根源はここにあった?【真面目な人って義務が得意】というのは名言。いかに人の記憶が曖昧で、人にどう誤解され伝わるか。見事な怖さ。

2019/12/08

風眠

何気ない言葉や態度が、誰かを傷つけてしまう事ってあると思う。「え?私そんなことした?」やった側はそんな程度でも、やられた側にとってみたら大きな大きな傷なのに。捉え方の違い?悪気がなかった?本当にそう?そう思い込んでいるだけじゃないの?本当は、悪気、あったよね?自分に都合よく記憶してるだけなんじゃない?そんな問いが私の中でぐるぐる回る。人を見下す気持ち、見下される気持ち、私はどちらもわかる。登場人物の誰の目線で読むかによって、見える世界が変わり、自分の心の中身を突きつけられる短篇集。まるで心理テストのよう。

2018/07/23

ろくせい@やまもとかねよし

4短編は人間関係の慮り、怒り、悔やみ、恨みを表現。大学時代の友人男性に拘束嗜好の新妻と送る人生へ慮り。教師として生徒にかけた何気ない言葉で生じた積年の怒り。目的が見えない遵法精神で親から受けた封建的教育への悔やみ。少年期に苦手な集団生活からうまく人付き合いができない経験を一方的な被害妄想へ転換した積年の恨み。共通するのは「自己的にしか意識できない他人」だろうか。自己には他人の存在が不可欠。しかし、自己で認知している他人との経験や認知は、その当事者とでさえ共有できるわけないと訴え、同時にその多様を愛でるか。

2021/02/06

ウッディ

あの頃、何気なく放った言葉、取った態度で傷ついた人がいる。そんな自分の行動を今になって、突きつけられる4つの物語。どれも胸に刺さった。良い奴だけど、恋人にはならないそんな男友達の結婚を描いた「ナベちゃんのヨメ」もさることながら、アイドルになった元教え子から、強烈な反撃を受ける「パッとしない子」は辛すぎる話だけど、頁をめくる手が止められない。旬の作家、辻村さんらしい中身の濃い短編集でした。都合よく美化されている自分の思い出の片隅で、傷ついていた同級生がいたかもと、胸に手を当ててしまいました。面白かったです。

2018/10/10

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