昭和期デカダン短篇集 (講談社文芸文庫 みM 1)
昭和期デカダン短篇集 (講談社文芸文庫 みM 1) / 感想・レビュー
あにこ
収録作が豪華。しかしチープではない。さすがは講談社文芸文庫。そのセンス良いはずの選者の解説が、のっけから『デカい箪笥』が云々というのには閉口した。恐ろしいほど寒い話だがこれはマジなのだ。■三島由紀夫の『憂国』は今回初めて読んだが、これほど美しい話はない。趣味丸出しで凡人ならば芸にならぬところが、一周回って立派な芸術作品になり得ている。■『十九歳の地図』、これはすごい。センスがむき出しである。物語が大きく動くことはないが、異様な活力が渦巻いている。
2019/12/26
まんだむ
初めて読む作家ばかりで楽しめた。ただ、内容が内容だけに、読み切るのに体力のいる一冊でした。葉山嘉樹の「セメント樽の中の手紙」は何度読んでもいいし、続く宮嶋資夫の「安全弁」も良かった。衝撃だったのは、ラスト三つの、三島由紀夫の「憂国」、野坂昭如の「骨餓身峠死人葛」、中上健次の「十九歳の地図」。どれもすごいし、読んで良かった一冊でした。
2019/02/02
三毛猫座(みけ
三島由紀夫の憂国、初めて読んだ。趣味丸出しですごい笑!野坂昭如の骨餓身峠死人葛、これも圧巻。こんな小説は初めて読んだし、引き込まれた。
2018/11/30
東京湾
頽廃、厭世、放蕩、紊乱、自己破壊、アナーキー。戦前から高度経済成長期に至るまで、時代の反逆者たちが描いた悪魔的傑作十三篇。自我を埋没させる平坦な日常や共同体から逃れ、索漠とした破滅への荒野へ身を投げる、無頼な魂の彷徨に打ちのめされる。
2021/01/27
カワハ
デカダンな名作ばかりを集めた短編集。デカダンといえば自分は安吾や太宰、織田作などの無頼派が思い浮かび、本書でも彼らの作品は充分面白いのですが、圧巻は野坂昭如の骨飢身峠死人葛(ほねがみとうげほとけかずら)。どうしようもなく欲と性と死の香りが匂い立つのに、目を背けたくなるどころかぐいぐいと引き込まれる。それは、死人を養分として綺麗な花を咲かせる死人葛のように、どこか美しささえも感じる程でした。
2019/10/10
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