草々不一
草々不一 / 感想・レビュー
ケンイチミズバ
塩分の過剰摂取は体に毒です。権力争いに巻き込まれ、上役の裏切りと火事の責も負わされ妹は自害する。兄は料理の道をひたすら精進し腕を磨く。御台様が料理を口にするのはそれぞれ二口三口なのであれを使えば体に害は及ばない。残る御馳走は対立し合う女役人のナンバーワンツーが平らげるのが慣わい。そして七回忌を前に二人とも討ち果たす。調理場には監視役の目が鋭く光り、お毒見役もいる。故に暗殺は時間をかけた過剰投与で行われた。スゴイ!旗本の養女となり大奥に腰上げされた妹、長男しか家督を継げない武家の仕来りの犠牲とも言えるな。
2019/01/07
いつでも母さん
下級武士たちを描く短編集。まかてさん上手いなぁ。『福袋』が好きだが、こちらもなかなか・・毎日一つずつ読んだ。好みはタイトル作と『一汁五菜』『妻の一分』
2018/12/22
ひさか
小説現代2015年12月号:粉者、2016年5月号:早々不一、2017年1月号:妻の一分、7月号:青雲、9月号:蓬莱、11月号:落猿、2018年1月号:一汁五菜、3月号:春天、の8編に加筆、修正して、2018年11月講談社から刊行。早々不一に特に味がある。武家の世界を興味深く切り出して語る朝井さんが、素敵だ。
2019/03/15
タツ フカガワ
武家物8話の短編集。武辺者ゆえ漢字が苦手な夫が、老妻の遺書を読むため手習所へ通うという滑稽物の表題作や、女剣士の淡い恋を描いた「春天」、江戸城の料理番がある陰謀に引き込まれる「一汁五菜」ほか、どれも趣向を凝らした作品ばかり。今年初の“まさかこんなに面白いとは”の一冊でした。
2020/02/05
Makoto Yamamoto
八編からなる下級武士層が主役の短編集。 各々切り口が違って面白い。 町人を主役にした市井ものもいいが、この種のものがいたりもいい。 女性が重要な役割を果たしている「蓬莱」、「妻の一分」、「春天」、「草々不一」が良かった。さすが朝井まかてと思った。
2021/10/31
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