ナショナリズム (講談社学術文庫 2533)
ナショナリズム (講談社学術文庫 2533) / 感想・レビュー
ドウ
日本のナショナリズムを「国体」を中心的概念として、明治以降の日本国家の政治史や戦後知識人たちの言論を考察しつつ論述する本。薄いのに論点が膨大。明治初期の日本内外に存在する異質な他者への脅威が、天皇を中心とした「臣民」という観念の創出によって内的には「日本人」として統合されつつも、帝国主義による「臣民」の拡大で絶えずそのアイデンティティが問い直されざるを得なかったこと、丸山真男が「日本」を独自たらしめる諸要素についてナイーヴに過ぎた点など、気付かされる点が多かった。
2019/09/27
politics
「国体」ナショナリズムの専門書。ナショナリズム一般の概説書ではない。本居宣長から幕末を経て明治国家にて形を成す「国体」ナショナリズムの軌跡を追い、戦後の南原繁、江藤淳、丸山眞男らの思想まで追跡に形を変えながらも生き長らえているとする。ぺダンティックな文体も去る事ながら、一つ一つの日本思想への読解に疑問も多くタイトルとは裏腹に難渋な書といった感じか。著者の経歴を諸に感じさせる内容であった。
2021/10/16
yasu7777
★★☆☆☆
2019/04/17
Haruki Nagasaki
新書で刺さる作品はなく、手に取りました。正直、言葉遣いが難しく、内容の理解が薄いかと思います。ただ、それでも感じたことが「日本人ってどうすればまとまるのかわからない」ということです。立ち返る場所がもしかするとないのかもしれません。ベースなしで海外から持ち込んでも、なかなか浸透しないのではないでしょうか。ある意味、日本人って超多様な社会かもしれません。
2021/01/17
YOa suie
読み取ったこととして、ナショナリズムには「病い」と「救い」という両義性がある。なだいなだやギデンズは宗教の歴史の持つ病いのイメージからナショナリズムを「世俗的な宗教」として形容する。一方でアイザイア・バーリンは外部の「他者」によって加えられる傷を癒そうとする救い、「曲げられた小枝のはね返り」といった「救い」としてナショナリズムを形容する。丸山眞男や司馬遼太郎などに見られる草創期の日本のナショナリズムは曲げられた小枝の自己救済という救いのナショナリズムという事になるという。
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