こいいじ(10) (講談社コミックスキス)
こいいじ(10) (講談社コミックスキス) / 感想・レビュー
ぐうぐう
この結末に感動するのは、何があっても恋をあきらめなかったからではない。意地を通そうと強い気持ちを持っていたからではない。二人の想いは、紆余曲折だった。他の人を好きになったこともあるし、お試しで付き合って別れたこともある。あきらめようとしたけれど、やっぱり「あきらめられなかった」ことに気付く。その弱さと、同じように存在する強さに、激しく共鳴するから感動するのだ。何より、この漫画には人を想うことの優しさがある。最後まで読み続けて良かった。
2019/04/18
ソラ
いい最終回だった。まさに志村貴子さんって感じ。今回は発売ペースが速くて放浪息子や青い花とか終わるまでやきもきしたのに今作はすぐ出てくれてうれしかった。
2019/02/17
コリエル
志村貴子作品は、わがままちえちゃんだけでなく、敷居でのちあきの同級生など死者自体はけっこう出て来る。ただ今回の春さんのように常に登場人物たちの中心に重石のようにして存在感を示し続けたことはなかった。自然と物語も終着点に向かうにつれて、春さんの存在とどう向き合っていくかに焦点が絞られることになる。もう失われてしまって、言葉や感情のやりとりをできない相手がライバルだった主人公まめ。読む側もまめと共に春さんへの負い目のような気持ちを体感してなかなかしんどかったけど、愛しい死者を忘れない物語でいてくれて良かった。
2019/02/13
7ember
ラブロマンスは普通、主人公が結ばれる未来に向かってぐいぐい時間が進んでいくが、本作は物語の現在が進行すると同時に回想が過去へと遡行していくので、全体として時間が滞留しているような印象(優だけは容赦なく成長していく)。ラヴロマンスでありながらトラウマ・ナラティヴ的で、新しい展開が次々と拓けていくというよりは、それぞれが自分の「こいいじ(コンプレックス)」と折り合いをつけていく。『ビューティフル・エヴリデイ』とも共通点が多い。病み衰えていく春子の肉体をどう描くかという課題は志村作品では新しい試みだったかも。
2021/10/24
A.Sakurai
最終巻になって、この話は春子さんが亡くなった後に残した未練=意地が全ての中心であったことが判明する。そもそも第一話が春子さんの葬儀で始まるし、頻繁に春子さんの回想シーンは盛り込まれるし、まめだけでなく聡太も優もゆめも春子の想いに引かれていく。作者としては最初から亡くなってしまった人を中心にする構想だったのだろう。
2019/10/05
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