レッド・ベルベット(1) (ワイドKC)
レッド・ベルベット(1) (ワイドKC) / 感想・レビュー
天の川
寂寥感あふれる映画を観ているようだ。幼なじみで隣同士の二人の少年。似た境遇が二人を寄り添わせる。母の不在、父との軋轢。死んだ母のケーキ屋の再興のためにレシピの復元を目指すアールを守ってあげていたはずのランディは窃盗団に絡めとられて…あとがきで語られる作者の生育歴が色濃く翳を落としているのか。切ない美しさに陶然としながら、二人のこれからが気になる。
2020/02/11
ぐうぐう
13年ぶりの新刊だった『ディア・ダイアリー』から3年、待望の長編新作。帯に寄せられた錚々たる漫画家達の賛辞が、多田由美の新作を同業者の多くが渇望していたことを明かしている。唯一無二の彼女の画は、鋭利なナイフで、世界を切り裂くように屹立していた。画が、すでにドラマなのだ。タイトルは、リンチのかの映画を連想させる。ちなみに『ブルーベルベット』が公開された1986年に多田由美はデビューしている。ともあれ、この新作に続きがあることが嬉しい。彼女の力強いあとがきも、頼もしく感動的だ。
2019/04/23
てんてん(^^)/
本編よりもあとがきの方がさらに壮絶だった。この人の作品に常に流れている哀しみというか、諦めというか、そういうものがどう育まれてきたのか少しわかった気がした。本作も、なかなか辛く息苦しくなる物語だが、この先2人が幸せになってくれると信じたい。
2019/05/28
miaou_u
多田由美さんの作品を読むのは初めて。これはとても好きなテイストだなぁ。もし映画化されるとしたら、ティモシー・シャラメにぜひ、出演してもらいたいなぁ。と、まだ1巻にして思ってしまいました。 大人に抗うにはあまりに無力で、心にジレンマや棘を抱えて。いつか壊れてしまうんじゃないか、そんな不安定で足りないものを共有するかのように、寄り添うふたり。後書きでの、過酷な作者の幼年期に慄く。そんな彼女だからこそ、描き生まれてきた作品なのかもしれません。2巻へ。
2020/04/14
ぽん太
表紙買いでした。丁寧に描かれた絵のとても美しい作品。先行きが怖い反面目を離せない感じです。映画のような画面の作りとあとがきがすごい。
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