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少女は鳥籠で眠らない (講談社文庫 お 124-4)

少女は鳥籠で眠らない (講談社文庫 お 124-4)

少女は鳥籠で眠らない (講談社文庫 お 124-4)

作家
織守きょうや
出版社
講談社
発売日
2019-07-12
ISBN
9784065155639
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少女は鳥籠で眠らない (講談社文庫 お 124-4) / 感想・レビュー

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パトラッシュ

私利私欲を実現するため法を破る者が犯罪者なら、法の網をくぐり合法的に利欲を得た者は何か。愛した男を自分のものにするため、重病の息子に治療費を得るため、好きな女を幸せにするため、不仲な親兄弟に財産を渡さないため法を逆手に取る道を選んだ依頼者や関係者に、新米弁護士の木村は理想と現実の落差に愕然とする。一方そんな事態を散々見てきた先輩の高塚は、ベテラン弁護士らしく法に従うギリギリの線で人が幸せになれる方法を探る。人の作った法が必ずしも人を幸せにできないことを木村が学んでいく、チューターと生徒の物語として読んだ。

2022/06/14

buchipanda3

リーガル・ミステリ連作集。法律は味方にもなるし、そうでない場合もある。法律の盲点を突くような解決策とそれに絡む人間の深い情感に思わず唸らされた作品だった。初篇の黒野葉月のは最初何が起きたかよく分からず不思議な感覚で読み終えたが、以降の篇を読んで意図が分かり、目的を達成するためにはどんな手段も辞さない人間の業と歪んだ愛にゾクリとなった。特に「~花束を捨てない」は当初の印象からの捻じれ具合が強烈。後を引く味わい。どの篇も真っ直ぐな木村弁護士とスマートな対応をする高塚先輩のコンビがいい感じでハマっていた。

2019/07/19

佐々陽太朗(K.Tsubota)

物語の肝は登場人物の気立て。最後に明かされる登場人物の想いにキュンキュンしてしまう。まことにあっぱれ。新米弁護士・木村の目で事実が明らかになっていくにつれ、この事件の印象がだんだん変わってきて、終いには本質的に違うものになってしまうという筆致の見事さ。リーガル・ミステリを読んでいた読者が、いつのまにかラブストーリーを読んでいたのだという転回に、「あぁ、やられた」と思ったのは私だけではないだろう。登場人物が想いを遂げる手法には同意できない部分もある。しかしその想いは一途で美しい。読後感は爽やか。続編を待つ。

2022/05/31

まこみん

新米弁護士木村の受けた案件4編の連作。新人らしく真っ直ぐで、時には依頼人にのめり込みがちな木村と、先輩弁護士の高塚は実績もあり、冷静で物事をクールに捉え、木村に助言も。4件の依頼人は皆、内に強過ぎる思いや信念を持ち、弁護人にも明かされる事はない。現在の法律に対峙する彼らの本意は、えぇっそこまでする!?と思えるもの。法廷場面とかはなくて、飽きる事なく楽しめた。織守きょうやさんは現役女性弁護士で、又こんな視点のリーガルミステリーを読みたい。

2021/10/24

Nyah

面白かった。新米木村弁護士頑張れ/短編集「黒野葉月は鳥籠で眠らない」15歳の少女に淫行をしたとして21歳の家庭教師が児童福祉法違反で逮捕された。その少女葉月は‥。「石田克志は暁に怯えない」子どもの手術の為、実父に金を借りに行き住居侵入で捕まった石田は遺言で相続人から廃除されて‥「三橋春人は花束を捨てない」妻の不貞に悩む三橋は離婚して親権だけを望んでいた。実は‥『ただ、覚えておけばいいよ。絶対に欲しいものが決まってる人間が、どれだけ強くて、怖いものかを』「小田切惣太は永遠を誓わない」芸術家の小田切の遺言は。

2023/03/05

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