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サリエルの命題

サリエルの命題

サリエルの命題

作家
楡周平
出版社
講談社
発売日
2019-06-20
ISBN
9784065156056
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サリエルの命題 / 感想・レビュー

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starbro

楡 周平は、永年に渡って新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、オリンピック・パンデミック・ノベル、一気読みしました。結構リアルだけに怖い気がしますが、終章が短すぎるのではないでしょうか。私は、優先順位が低い人間です(苦笑)

2019/07/12

utinopoti27

ある日、突然現れた強毒性インフルエンザウィルス「サリエル」。孤島の住民を全滅させ、さらに厄災は本土に飛び火する。対抗手段は5万人分の備蓄しかない抗生物質「トレドール」。迫りくるパンデミックの恐怖から日本政府は国民を救えるのか・・。緊迫感MAXのパニックサスペンスと思いきや、いつのまにかストーリーは、超高齢化社会を迎えた、日本の医療制度の構造的課題にシフトする。限られた『命綱』の配分は、すなわち命の重さのトリアージに他ならない。サリエルに突きつけられた「命題」に我々はどう応えるのか、心胆寒からしめる作品だ。

2019/11/28

KAZOO

楡さんによるある意味警鐘小説なのでしょう。時代はこのような小説にありがちな近未来ということではなく、現時点での健康保険制度などのさまざまな制度の欠陥などが指摘されます。バイオテロを発端とした政府の対応のあり方など結構興味深く読ませてもらいました。私はむかしのことしか知らないのですがアメリカではジョージアテックよりもカルテックのほうがレベルが高くなっているのですね。

2019/09/11

モルク

東京オリンピックまで1年を切ったまさに今の状況で、日本海側の孤島で強毒性の新型インフルエンザが発生し島民全員が死亡。渡り鳥から感染したとされたが、それは悪魔のウイルス「サリエル」による個人を狙ったバイオテロだった。そして東北の県境にも感染者が。治療薬は「トレドール」のみ、だがその数は圧倒的に足りなかった。感染が拡がった場合感染した順に投薬すれば早く感染した者勝ちになる。女、子供、生産性のある年齢層、優先させるべき順位とは。高額な高齢者医療費それを補填する国税と、現在の医療制度の問題点をも浮きぼりにする。→

2019/09/13

takaichiro

日本の健康保険制度の課題や命の優先度、人命を扱う政治家の心理、長寿と歪な人口ピラミッドが齎す影響、人命最優先を恒常的に維持する条件、健康への自己負担、移民外国人の健康に対する金銭負担等など本来なら国民的議論が あって然るべき問題について、pandemicパニックを背景に論を進めていく。小説なので最後は危機的状況を克服するのだが、400ページ強の政策提言に目を通した感覚。自分なりに勉強して深い理解、思考は必要だが普段誰かが何とかしてくれるだろうと目を背けている課題を直視せざるを得ない作品。勉強になりました。

2019/06/05

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