悪の五輪
悪の五輪 / 感想・レビュー
starbro
月村 了衛は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、東京オリンピック1964記録映画ノワール、実在の人物が多数登場し、ノンフィクションのような雰囲気でした。利権の塊オリンピック、TOKYO2020も●元総理あたりに、かなりの裏金が流れているのかも知れません。お主も悪じゃのぅ!
2019/06/04
いつでも母さん
これだけ実在の人物が登場するとフィクションだよね?と思いつつ、実際はこれに近いものがあったのだろうなぁとも思った。昔から(昭和ど真ん中世代)芸能の興業には後ろになにがしかの世界の住民がいたのだものね。ましてや最早戦後ではない昭和39年東京五輪!利権のるつぼだったろうさ。その記録映画を撮る黒澤明の後任を巡って映画好きの変人ヤクザの人見が躍動するのだが、そこは蛇の道は蛇、興業界は一筋縄ではいかないのも想像出来る。来年に迫った東京オリンピック!とにかく無事に終わりますようにと今はそれだけ願っている次第です。
2019/06/03
ナイスネイチャ
図書館本。前回のオリンピックを控えた日本が舞台。映画好きのヤクザが半分オリンピック映画を作りたい気持ちと利権獲得を強引に進めるお話。実名の映画監督や政治家が出てくるあたりもあり、知らなかったエピソードもあり勉強になりました。
2019/06/24
のぶ
1963年、翌年の東京オリンピック開催を前に、公式記録映画の監督を務めることになっていた黒澤明が降板したところから話は始まる。極道の白壁一家の人見稀郎は、錦田欣明という監督を後任にねじ込んで、興行界に打って出るべく動き出す。あの頃の東京はあらゆることに利権が絡んでおり、土建業者や右翼、ヤクザらがそれを目当てに蠢いていた。今とは大きく時代は変わっているが、いかにもあの時代にありそうなドラマだった。昭和の香りが漂っていた。実際の記録映画は市川崑が監督を務めるが、史実だと言われても不思議ではない物語だった。
2019/06/07
とん大西
令和2年、成熟した都市が迎えるオリンピック。かたや戦争がまだ遠い昔話ではない昭和39年、成長のスピードを加速させる都市が迎えるオリンピック。ヤクザも政治家も経済界もこぞって群がる甘い蜜。昨日の友も今日は敵。オリンピックがもたらす巨大な利権-勝つのはオレ、独り占めするのはオレ、オマエが勝つのは許さない…。描かれる生臭い我欲…。国家規模でとてつもない金や権利が動いていたことを考えると本作も6割位は実話なんじゃないかと思えてしまいます。昭和のスターやら政界の妖怪やら…こんだけ実在の人物がガンガン出てくるとね。
2019/08/17
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