KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの (講談社文庫 き 68-1)

石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの (講談社文庫 き 68-1)

石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの (講談社文庫 き 68-1)

作家
清武英利
出版社
講談社
発売日
2019-06-13
ISBN
9784065163764
amazonで購入する Kindle版を購入する

石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの (講談社文庫 き 68-1) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

kinkin

内閣官房機密費横領の情報を得た警視庁捜査二課の刑事による横領の首謀者、追跡劇と事件の内容についてほぼノンフィクションとして描かれている。官房機密費とは領収書のいらない使途について公開しなくても良いお金のことだ。民間人からすれば、会社、個人事業たとえ数千円のものでも領収書が必要だ。それが何に使われても問われないという謎。一人の外務省職員が数億円横領という信じられない事件だった。国民につくすはずの公務員が血税を使いまくる。他の省庁も同じことをやっているのは明らかだろう。そしてその大仕事が報われぬ刑事たち・・・

2024/08/24

ミスターテリ―(飛雲)

国家公務員、談合、癒着、接待、賄賂・・すべて聞き飽きた言葉であるが、それがつねに繰り返されるのは、人の欲とカネの力であり、権力側に立つとその力を利用したくなり、一度使ってその威力を知ると麻薬みたいに抜けれなくなるらしい。いま話題になっている東京オリンピックにしても、過去の汚職事件にしても、大きな工事、イベントがあれば、悲しいことだがつねにそこには賄賂が存在する可能性が・・この作品は2001年の外務省の事件をもとに,損得なしに、ただ正義のために行動して、悪を暴こうとする刑事たちの姿を克明に描いている。

2023/02/12

びす男

サンズイ(汚職)を扱う警視庁捜査2課の刑事が、地道な捜査で機密費の流用を突き止めた■実名に迫力がある。内部資料も次々と露わになる。取材が深い。書けなかったことも多々あろう■二つのことが思い浮かんだ。ひとつは「はみ出し者」を飼えない組織に、大きなヤマは挙げられないという管理社会のジレンマ。そして、組織内でカラ領収書の使用が横行したとき「自分は手を染めずにいられるか」という疑問――■「仕事ができて卑しくない、という生き方はなかなかできない」。そんな台詞がある。「石つぶて」のようにいることは、至難の道である。

2021/03/24

hatayan

2002年に起きた、外務省のノンキャリアが立場を悪用して公費を横領していた事案。警視庁の捜査二課が地道な捜査の末突き止め、金の出所が政府の機密費であったことに迫るも、被疑者の口を割ることができずキャリアや政治家の疑惑を解明するには至りませんでした。1億円以上を横領した被疑者は高卒ながら省内では「影の局長」と恐れられ、省内向けの冊子で「外務省を支えてきたのはキャリアでなくノンキャリア」と強烈な自負心を覗かせていたといいます。 同じ公務員でも、放埒な外務省と地道な警視庁との歴然とした違いを感じた一冊でした。

2019/06/20

ミエル

WOWOWドラマを見逃したのでまずはこちらを。重厚なノンフィクションで大満足の読後感。事件が起きる前から事件の端緒をつかむ捜査二課の仕事は、調査、検証の連続、果てしなく地味で地道な日々の連続、なおかつ事柄が大きければ大きいほど立件されずに報われない結末を迎える事も多い。本作の横領事件も末端の職員一人の逮捕のみで終わる胸糞の悪さ、大団円とはいかない歯痒さに在職中に一つでも大きな事件に繋がればいい方なのかもと思わざるを得ない。仕事ルポものとしても読みごたえあり。

2019/12/17

感想・レビューをもっと見る