medium 霊媒探偵城塚翡翠
medium 霊媒探偵城塚翡翠 / 感想・レビュー
W-G
このミスランキングから。書店で良く見かけた記憶はあったが、全くのノーマークだった作品。最終章でどんでん返しがあることは前情報からある程度覚悟。それ故に、インタール―ドに登場するシリアルキラーの正体は分かりやすいので、その先にもう一段仕込まれていると、今となっては明白なのは仕方がない。どんでん返しにも、人によって好みがあるので、「ふ~ん…」で終わる読者も多そう。この本の良いところは、ラストの驚きのシンプルなインパクトでも、充分に勝負出来る上に、本格として、推理の構築方法に新しい見せ方を提示したところだろう。
2019/12/13
starbro
2019年の国内ミステリランキング1位になってから、図書館に予約したので、コロナ禍もあって漸く読めました。相沢 沙呼、初読です。最初の方はこれが本当にミステリ1位、本屋大賞6位なのと思って読んでいましたが、第三話、最終話とドンドン面白くなり、2019年の各種勲章は納得です。 http://kodansha-novels.jp/1909/aizawasako/ 相沢 沙呼は、女性作家だとばかり思っていたら、思いっ切りオジサンの男性作家でした。 https://news.kodansha.co.jp/8090
2020/07/02
パトラッシュ
某少年探偵は「真実はいつもひとつ」と断言するが、真実に至る過程がひとつとは限らない。これが霊媒師と推理作家がダブル探偵を務める本作の隠れたテーマだ。霊視で殺人犯を見抜く探偵を論理的にどう説明するかという難問を巧みにかいくぐってみせる第三話までは本格ミステリとしての高い完成度で読者を満足させるが、最終話でそれまでの物語を完全に否定してのける手腕は見事だ。今年の本格ミステリ大賞と推理作家協会賞のダブル受賞も夢ではない。ただ今後続編が書かれるとしても、ヒロインの真実を知ってしまった読者を騙すのは難しいだろうが。
2020/03/10
海猫
帯に「2冠!第1位」(現在は3冠)と書いてあるし、多数の推理作家陣による称賛のコメントを読むとどうしてもハードルが上がる。作家の香月史郎と霊媒の城塚翡翠が、コンビで殺人事件を解決していく連作短編集。まず翡翠が美人で言動行動が可愛らしくミステリアスな雰囲気も相まって、かなり萌える。各話軽快なので、食感がライト文芸っぽい。そう思い、読んでいくと思いきりしてやられた。実は予想以上にロジカルに組まれた作品で、ライトどころか確かに本格ミステリの味わい。ハードルを余裕で超えてくる内容に納得させられる。読んで良かった。
2020/01/21
青乃108号
折角の休みなので、まる1日かけて読了した。投げ出すような事もなかったので、面白く読めたのだとは思う。しかし読みながら疑問に思った事が。なぜ、この本の内容で第1話から最終話、という一見短編集に見える体裁をとったか?いや、ふつうに章立てで、1章~最終章という区切りで、長編に仕立てる方が自然だと思ったのだ。最後まで読んで、なるほどそういう事か、と。ブツ切りの各話読み切りスタイル、の印象を与えておいて、最終章まで読んだ時にあれあれ全部ひっくり返って繋がってと。そこら辺の驚きを強化する為の1つの手段だったんだね。
2022/01/07
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