告白 三島由紀夫未公開インタビュー (講談社文庫 み 4-4)
告白 三島由紀夫未公開インタビュー (講談社文庫 み 4-4) / 感想・レビュー
さきん
発掘された亡くなる9か月前の未公開インタビューと対談者で翻訳家のベスター氏との共通話題であった短編「太陽と鉄」が収録。親の言う通りに生きる病弱な文学青年時代と小説家になってから、肉体を鍛える楽しさに気づき、太陽と下で鍬をふるう健全さに目覚める過程、そこから得られる武士や軍人の精神への憧れ、葛藤をにじませている。ベスター氏がもはやレコードが見つかった時に亡くなっていたのは残念。このインタビューを聞いた親族や関係者が、三島氏が自然体であることに驚いていた。
2022/03/19
Isamash
1970年2月19日(割腹自殺が同年11月25日)ジョン・ベスター(英国生まれの翻訳家)によるインタビュー(TBS報道記者小島英人がテープ発見)と三島著作「太陽と鉄」(「批評」に1965年11月〜1968年2月掲載された自分語りの著作)の合本。映画(vs 東大全共闘)を観て以来三島に興味が湧き本書を手に取る。非常に率直に語ってる印象でかなり興味深かった。日本国憲法が嫌いなのは、偽善のもとだからとのこと。法律を守って栄養失調で死んでしまった裁判官に象徴されるような,それを本気で守ったら死んでしまうものだと。
2023/07/07
reading
非常に貴重な文献。さすがは天才三島の告白であり、内容はかなり難解。あとがきも非常に興味深い。美輪明宏や松本道子編集者が登場し、南馬込の邸宅でのエピソードも目に浮かぶよう。市ヶ谷台ツアーというものがあると知り、参加してみたい。
2021/01/08
橘
好きなように楽しそうに話してらっしゃる。大聖堂みたいな小説が書けたら嬉しい、と言われていた後、9ヶ月の間にどんな心境の変化が…と思っちゃいました。
2021/05/08
ホースケ
そこにいるのは素顔の三島(のように見える)。ざっくばらんにインタビューに答えている姿が映像となって浮かび上がってくるようだ。印象的だったのは、自分の文章を余白のない油絵的だと言っているところ。確かに例えば『豊饒の海』などは、その美しく多彩な表現によって次々と塗り固められているさまに、しばし呆然となる瞬間がある。意地悪な70歳のお爺さんになっているであろうという想像には、既にそんな未来はないと覚悟をしていたのかもしれないが、70歳の三島も見たかったなと心底思う。『太陽と鉄』は難解だった。いつの日か再読したい
2022/06/15
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