深淵と浮遊 現代作家自己ベストセレクション (講談社文芸文庫 たAL 1)
深淵と浮遊 現代作家自己ベストセレクション (講談社文芸文庫 たAL 1) / 感想・レビュー
佐島楓
「自己ベストセレクション」なだけあって、各作家の一番の得意分野、特長的で先鋭的な作品がずらりと居並んでいる。この作品集を手掛かりとして、ディープな文学世界に足を踏み込んでいただきたい。凄いラインナップだ。
2019/12/24
アマニョッキ
これは本当に奇跡のアンソロジー。高原英理さんが好きなのもあるけれど、作家さんのラインナップの素晴らしさ!!そのうえ自己ベストセレクションなんてまさに奇跡の書。エイミーの自己ベストが「間食」なのも嬉しかったし(わたしも一番好きかも)、筒井康隆さんの変わらないぶっ飛び感も大好物。そして穂村さんファンは絶対読む価値あると思う「いろいろ」。穂村さんの自己ベストいろいろっすよー、たまらんすよねえきっと。1800円、安い!本当心からおすすめ!
2020/02/09
プル
著者自身がベストと思う物を集めた作品集。タイトルにあるように深い淵でさまよった感覚でもある。それぞれの個性が強過ぎて、休み休み読むため、時間がかかった。編者の解説にすごく共感・納得しながら締めくくれるのがよかった。
2020/02/02
かふ
高橋英里は知らなかったんですけど、「現代作家の自己ベスト」という言葉に惹かれて読んでみた。先日亡くなった古井由吉『瓦礫の陰に』が入っていたこともあって。『瓦礫の陰に』は空襲にも関わらず不意に出会った男女がセックスをする。坂口安吾の戦後の小説を思い出させるが、古井由吉『瓦礫の陰に』はその後に現代になって病院に入院している。病室の壁を隔てて声が交差し、過去と現在が混じり合い、文体も登場人物の中であらゆる境界が曖昧になって混じり合う生と死のエロスを描く。ボケ老人の戯言みたいな短編だが古井由吉の真骨頂の作品。
2020/03/10
SIGERU
心はずむ読書だった。古典を愛し過ぎて、現代文学にはアプリオリに留保をつける癖のある私だが、これは望外の収穫。現代文学の最前線に立つ作家たちの自選によるアンソロジー。その試みは、編者の自負どおり成功している。作品の向こうに、作者の顔が透視できる気さえするのだ。好みでいえば、まずは堀江敏幸と多和田葉子、小川洋子。語りの工夫はそれぞれだが、いずれも逸脱感が心地よい。堀江のスナフキン、多和田のきのこさん、小川のベネディクト。ガジェットの使い方が実に巧みで、気がつくと作者の世界に引き込まれている。
2020/11/19
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