講談えほん 西行 鼓ヶ滝 (講談社の創作絵本 講談えほん)
講談えほん 西行 鼓ヶ滝 (講談社の創作絵本 講談えほん) / 感想・レビュー
アキ
有馬温泉の近く鼓ヶ滝で西行法師が歌を詠みました。「伝え聞く鼓ヶ滝に来てみれば沢辺に咲きしたんぽぽの花」近くのあばら家に宿を頼み、歌を披露すると、おじいさんが「音に聞く」の方が調べが高うございますなと口を出した。確かにその通りだな。腰の曲がったばあさんが、われらは「うち見る」と申します、と鼓に掛けて調べが高い。ううむ、その通りだ。孫むすめが下の句を、川辺にしたら鼓の革と同じ音になるよ。「音に聞く鼓ヶ滝をうち見れば川辺に咲きしたんぽぽの花」お見事。一瞬の風と共に三人ともいなくなる。ああ「和歌三神」だったのか。
2022/02/22
☆よいこ
絵本。兵庫県の有馬温泉の近くに「鼓ヶ滝」という名所があった。西行が鼓ヶ滝を訪れ、渾身の和歌を詠む。自作の和歌によいしれて悦に入っていたが、山の中で出会ったじじとばばと孫娘に手直しをされる。それがいちいち的を得ていて西行は頭を垂れるばかりだった。▽講談は、主に歴史上のできごとや、人物などを題材にした話芸。日本の歴史物語を次世代につなぐために、とても大事でいま注目されている芸能だそうだ。▽講談師が監修をしているので、気持ちよく読み聞かせ(音読)できる。面白い。ただ、和歌の面白さを理解できるのは高学年~中学生か
2020/03/02
モリー
桜の散る様子を見るたびに、西行さんの詠んだ歌が思い出されます。「願わくは花のもとにて春死なんそのきさらぎの望月のころ」この歌は、誰もが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。さて、そんな有名歌人西行さんとも知らずに(?)西行さんが旅の途中で詠んだ歌を「なおしてしんぜます」という御仁が現れます。日本の実在の人物や史実を、脚色を交えて聴く人を楽しませる《講談》という芸能があることを恥ずかしながら、最近まで知りませんでした。この芸能を次世代に伝えたいという思いで企画された絵本だそうです。
2020/03/15
真理そら
山村浩二さんの描く西行さんはかわいいw私の想像の西行さんはもう少しコワモテなのでちょっと違うかも。自作の歌の出来栄えに満悦してたのに次々手直しされて「そっちのほうがいい」「そっちのほうがいい」「出たな孫むすめぇ!」と素直に認めるところが西行ファンとしては嬉しい。これは講談だけれど落語でも聞きたいなあ(はやくコロナ禍が終わりますように)
2021/03/08
よこたん
「伝え聞く鼓ヶ滝に来てみれば沢辺に咲きしたんぽぽの花」から「音に聞く鼓ヶ滝をうち見れば川辺に咲きしたんぽぽの花」へ。自画自賛の極みの西行のうぬぼれを戒めたのは…。それにしても、ことごとく歌直されすぎだし。『西行』の背表紙に惹かれて本を引っ張り出したら、うわ〜この顔!、私の(勝手に作り上げたイメージの)西行さまがー(笑) 講談仕立ての絵本は初めて読んだので、少し戸惑う。落語よりもシャープな語りの印象で、テンポよく机を叩く合いの手の音が聞こえてくるようで、時折ドキリとした。しかしこの顔…もう少しなんとか…。
2020/01/12
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