大雪物語 (講談社文庫 ふ 38-17)
大雪物語 (講談社文庫 ふ 38-17) / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
久しぶりの藤田先生作品です。やっぱり読みやすさは秀でており、すらすらとアッという間に読了です。長野県のとある町「K町」で起きた豪雪にまつわる1日を六人の視点から捉えた短編集です。藤田先生の作風らしく、さりげない優しさに包まれ、ちょっと切ない感じもココロにしみわたります。作品によっては藤田さんならではのちょっとしたエロスらしさもあり、改めて作者さんの余裕っぷりが伺えます。しかし、作者さんが逝去され、今後この方の新たな作品をもう読めないのかと思うと残念で仕方ありません。未読の作品をしっかりと読んでいきます。
2021/11/27
KAZOO
藤田さんのある舞台(K町と書かれていますがすぐどこかわかります)と雪に関するある意味連作小説なのでしょう。6編の小説のなかにもあるのですが大雪で閉じ込められてしまった経験を著者もお持ちだったようです。家族関連などが多くほろっとさせてくれる作品もあり季節に合った小説でした。
2024/02/01
相田うえお
★★★★★22016【大雪物語 (藤田 宜永さん)】あら〜大雪物語を読み出した途端に関東を含む広域で大雪!実にタイムリー。つーか、びっくり! さて、別荘と避暑で有名な長野県K町。アクセスにはUバイパスも有名。この『K』と『U』は誰もがご存知かと思います。本作品は大雪に見舞われたK町に絡めた短編6話。どれも引き込まれてしまうストーリーでした。毎年、冬になったら再読したくなるかもしれないと予感できる一冊になりました。もう、藤田さんの新しい作品は読めないと思うと残念でなりません。大雪がお好きな方に特におすすめ!
2022/02/11
ふじさん
避暑地として有名なK町が記録的な豪雪に見舞われ、除雪が追い付かず、自衛隊を要請する事態になった。想定外の事態が引き起こした出会いと別れを等を描いた作品。「雪の華」は、20年ぶりに昔愛した女に再会する。20年という年月が、遠い景色となって露になる。「雨だれのプレリュード」は、細密画家の彼女とピアニストとの彼は、夫婦となるが感情のもつれから一度別れた。だが、あるきっかけから二人の関係が緩やかに重なり合うことになる。この、二作が私は気に入った。この小説には、生きることへの作家の覚悟と答えが垣間見える。
2021/12/15
papako
軽井沢に行くので、こちらを。大雪に閉じ込められた軽井沢。そこに閉じ込められた人たちの六つの物語。人と人の心の機微が描かれていて、切り取られた物語なのですが、ああ、この人たちは、明日からも生きていくんだな。と思わされました。初めて読んだ作家さんですが、スマホが出てくるのが不思議なほど、昭和な文章ですね。今年は雪が降らないから、ちょっと残念です。
2020/02/17
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