氷の仮面 (講談社文庫 し 104-6)
氷の仮面 (講談社文庫 し 104-6) / 感想・レビュー
のり
幼い頃から「翔太郎」は自分の性に違和感をもち、女の子になりたかった。それは同級生の男の子を好きになった事ではっきりと悟る。誰にも言えない悩みを抱え辛い時期を過ごす中、いち早く気付いた姉の存在が大きかったが、ある時父親に秘密がバレて家を飛び出す。まだ高校生だったが、自立の道を探し夜の世界へ踏み出す。もともとキレイな顔立ちで身体にも手を入れ女性になっていくが、心身共に本当に大変だったと思う。今でこそ性同一障害は認知されてきたが、当時は偏見が先にたつ時代だった。それでも友人と仲間には恵まれた。↷
2021/02/16
だーい
小学校4年生の時翔太郎は同級生の真壁君に恋をした。叶わない恋、女になりたいと願う気持ちとは裏腹に男の体をもつ翔太郎はどれほど切なく苦しかったことか。大人になり家を出て茜やママと出会い、蘭として生きてこうとしながらも何のために女になるのか葛藤する姿が強く印象に残った。蘭は人に恵まれたからこそ生きてこれたと思う。蘭が葛藤するのと同時に父親も葛藤し、でも心の中では娘として受け入れていた。想いを知った蘭はきっと心救われたはずだ。ラストシーンの真壁君との小さな奇跡がずっと苦しく読み進めてきた気持ちを和らげてくれた。
2021/01/24
ちゃとら
【友本】阪神の商店街の飴屋さんの白くて可愛い長男が性同一性障害を抱えて大人になっていく話。男性性に違和感を感じ成長と共に変わっていく。女性になりたいとホルモン注射や手術へと努力を進めると、どうしても『ミッドナイトスワン』が浮かんできたが、翔太郎は周りに恵まれ、蘭になっても助けられて愛された。頑固な父親の若い頃の恋愛には、えっー⁉️と思ったが、読了感は良かった🙆♀️
2021/10/12
かのこ
自分が、もし男としてこの世に生まれてしまったら…。少女漫画とおなじ名字の憧れの真壁くん。リボンやスカート。赤いランドセル。全てを諦めなければいけない人生。今より少し昔、人と違った生き方をすることがずっと辛かった時代、それでも想いを捨てなかった蘭の歩みを手に汗を握りながら見守った。辛い時、悲しい時、真壁くんを思い出して乗り越えてきた彼女にもたらされる優しいエピローグ、彼女の門出を心から祝福したくなるラストだった。
2020/12/31
さおり
真壁くんがかっこよすぎて泣いた。真壁くんって言ったらもう、あの真壁くんしかいないじゃん!と思った私と同年代の人たちは、この本を読みなさい。塩田さんも同年代だからね。蘭が辛いめに遭うたびに、私も真壁くんの名前を呼んだ。心とからだが別だということは、これほどまでに辛いこと。誰だって人生が思い通りにならないものだけど、それにしたって酷いじゃん神さま。蘭がどうにか今日も笑って生きていてくれることを祈ります。で。どうしても言いたいんだけど、タイトルとか装丁もう少し頑張れなかったんかな。もっと読まれてほしい本やのに。
2020/12/03
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