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おおきな森

おおきな森

おおきな森

作家
古川日出男
出版社
講談社
発売日
2020-04-23
ISBN
9784065187395
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おおきな森 / 感想・レビュー

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starbro

古川 日出男は、新作中心に読んでいる作家です。今年の最厚本、ギガノベル厚さ7㎝、893頁、完読するのに丸3日かかるかなと思いましたが、頁で文字がソーシャル・ディスタンスしていたので、密を回避し、2日で読了出来ました(笑)樹海に著者の思いの丈(文学、歴史、戦争等)を挿入したカオス的幻想小説でした。但し、超長編小説好きもしくは古川日出男、坂口安吾(高校の大先輩)、宮沢賢治、いずれかのファン以外には決してオススメしません🌲🌲🌲 https://book.asahi.com/article/13391983

2020/07/04

ヘラジカ

坂口安吾が異次元の東京を探偵として彷徨う「第一の森」、南米の文豪三人が奇妙奇天烈な幻想世界を冒険する「第二の森」、それぞれ二つの森と交雑する「第三の森」に、文学や歴史/血族史をもって抹消された人類の蛮行を思索する「消滅する海」それらが繋がり(重なり)姿を表す茫洋たるおおきな森……。取り敢えず読み通した自分を褒めてあげたい。物量もさることながら、中盤からは最後の1フレーズに到るまでが酷く難解なのだ。600ページ以降はオートマティスムではないかと思われるほどのシュルレアルな展開に頭がおかしくなりそうだった。

2020/04/25

ぐうぐう

タイトルにもなっている「おおきな森」は、「木」が六つ合わさった存在しない漢字一文字で表記される。「イメージが三つに分岐するんだ」「それは……岐れる? 第一の、第二行が、第一から第三までの三行目に、ですか?」「そのように繁る」「繁るのは、もしかして」「もしや、なんだい? 丸消須?」「森がそもそも繁茂する樹々だからでしょうか? 防留減須?」「正答だ」「防留減須」「なんだい」「その詩作は森です」ひとつだったものが分裂し、ふたつになる。ふたつは対の構図で隣り合う(あるいは、向かい合う)。(つづく)

2020/06/09

さっとる◎

ここはどこで私は誰ですか。文字に固定されてしまったことばは拡がりを失いますか。私は一人ですか。ここにいない者の声が聴こえる。ラジオの電波、良好すぎる感度に撃たれた直覚。いつだって信頼に値するのは直感だけで、だからここにいないその声は死んだ者の声であって何ら構わない。私が昨日吐いたのはもう死んだ誰かの言葉。生きた私が吐き出す死者の声。生まれ直させた死者の言葉。名前ひとつ与えて世界が増える。氵(さんずい)ひとつ奪えば国は消え世界が殖える。増殖する文字がそれを物語に変える。死んだ生きる産まれる私の、数多の言葉。

2020/05/13

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ここはどこだ?森だ。入り口に漢字が落ちている森だ。漢字?漢字を拾い集める。丸消須、防留減須、振男、坂口安吾、古馬也子、未也坐輪…拾い集めた漢字が人名となり作家となり死者となり木となる。木が2本で林。3本で森。4本でジャングル。5本でアマゾン。中南米?では6本以上では?そうか。物語になる。物語とは書き手が何かを語ろうとして、自分に宛てた手紙なのかもしれない。これは日出男が彼らの声を通して自分に宛てた手紙だ。日出男の語る声が、声が確かに私にも聞こえた。陸も海も空もある、このおおきな森の中で。

2020/12/29

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