日本文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く (講談社現代新書 2566)
日本文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く (講談社現代新書 2566) / 感想・レビュー
アキ
編集工学研究所所長の松岡正剛の語りによる日本文化論。「生命に学ぶ/歴史を展く/文化と遊ぶ」を合言葉に、16講に亘りキーワードを揚げてコンセプチュアルに日本文化にアプローチする切り口が鋭い。「日本という国」が面影を求めて移ろってきた、そのプロセスにしかとても微妙で複雑な日本文化の正体は捉えられないとする。「和する」の講では、大和がもともと「山の門」からヤマトになり山城国と呼ばれ、和は和風など日本風と意味をなしたが、和御魂と荒御魂の日本神話にまでさかのぼり、すさぶから寂びと変容した。知の編集術がすさまじい。
2020/04/25
壱萬参仟縁
まねび/まなびの項目で、お雇い外国人への恩恵や、共通テストマークシート問題。記述式先送りを松岡先生は批判される。20C初頭ロシアにヴィゴツキーという37歳で夭折(宮沢賢治と同じ年齢)。『思考と言語』『子どもの想像力と創造』新読書社、『芸術心理学』学文社、『「発達の最近接領域」の理論』三学出版(178頁~)。大学受験に記述式敬遠は、現代日本人の認知力が文章的でないことを暴露したもの(179頁)。文章的でありたい。経世済民は、ウォルフレンが語っていないこととして、東京裁判、GHQ、米軍基地などが日本のシステム
2021/12/03
tonpie
今日の日本社会はコンプライアンスに惑わされ、監視カメラと賞味期限に縛られ、安全安心なところでしか仕事ができないようにしています。仕事場だけでなく、学校でも家庭でも「too much」を見せたらアウトの社会です。(略)べつだん古代ギリシャを持ち出す必要はないのですが、今日の日本には、あえていうならこのディオニソスが再来すべきなのです。今日の日本では、アポロン的なものも、ひどく衛生無害なものになっているからです。おそらく日本の理性は、民主主義や平等主義によってつるつるになってしまっているのです。↓
2024/11/06
Tenouji
編集工学でお世話になった、松岡正剛氏を、久々の読了。とても面白かった。やはり、氏も今のコンピュータパワーは、行き過ぎてる感を持たれてるんだね。ジャパン・スタイルとは、恐らく、記憶と感情へのアクセスの仕方がポイントだと思うんだけど、確かに、アイデンティカルを軸に共感を煽らないんだよね。ただ「道理」が弱いのは駄目だよなぁ。
2020/05/25
tamami
松岡正剛の、たとえば『千夜千冊』のどの巻の一頁を取り出しても、なんと広く深く時空を超えたつながりの中から言葉が紡ぎ出されていることか。日本文化を語る凡百の著作など、『千夜・・・』の一頁にも及ばないのではないか。この蓄積はどこで何時、などと野暮なことは言うまい。ただ正剛さんが繰り出す、日本文化を巡る言説を楽しむのみ。新書一冊の中に、日本文化が何十冊分、何千頁分も詰め込まれている。まずは参考書として挙げられているたくさんの書物を手引きとして、日本文化の森に分け入ろうと思う。
2020/03/26
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