ファーブル君の妖精図鑑
ファーブル君の妖精図鑑 / 感想・レビュー
さつき
タイトルから昆虫がらみの日常の謎解き小説なのかなぁと思いましたが、虫よりも妖精がメインで内容も思いのほかシリアスでした。ファーブル君という愛称の庭師さんとヒロイン真亜梨の過去が見えてきたところでおしまい。続きがありそうな話しですが続編は出てないみたいですね。真亜梨の描く妖精の絵を見てみたいです。
2023/06/15
雪紫
絵を辞めるつもりで母の故郷に向かう元美大生。そんな彼女は途中の列車で殺人事件に巻き込まれるものの、そこで待っていた出会いとは?文体と妖精の影が不思議で良い幻想ミステリみたいになってるけど、その妖精の絵の描写もあいまって意外と生々しい人間の背景が見えて来る。・・・完全決着じゃないから後々まで引きずりそうだしな。とりあえずあの図書館は常連さん含めて理想のブックカフェ過ぎて行きたくなるし、あの若手刑事さんは噛ませ過ぎて・・・まあ、ドンマイケル。
2023/11/24
ひさか
メフィスト2018年VOL.2〜2019年VOL.1掲載のものに加筆修正して、2020年10月講談社刊。顔のない薔薇、歌うシメール、湖の精霊たち、燦めく輪の中で 、みえない友だち 、ミチオシエ、みどりの指、の7つの連作短篇。真亜梨の出自や能力の謎がちらちらと各編に出てきて、気になりました。ところどころで、少しずつ明らかになって行くのは、楽しかったです。登場人物達の謎は、出揃ったのか、それとも残っているのかが、気になります。
2021/03/07
rosetta
★★★☆☆風光明媚な地方の街彩野辺。東京の美大を辞めた真亜梨は母の故郷であるこの地で喫茶店を兼ねた小さな図書館の仕事に就く。店主の甥のファーブル君は人には見えない妖精観察に励む口数の極端に少ない若者。真亜梨は彼の観察レポートを読んで見事に絵を描くことが出来た。次第に打ち解けて行く二人。 ミステリー要素と幻想趣味のバランスがちょうどいいが、最初のうちファーブルの書く物が詩的過ぎ抽象的過ぎて難解でなかなかついていけなかった。二人の生い立ちに関わる大きな謎はとりあえず解決されるがまだ幾らでも続きそうな予感
2021/01/15
Kei.ma
場面はいきなり綾野辺鉄橋を走る列車内から。憧れの余部鉄橋が思い浮かびあっという間に物語に吸い込まれてしまった。森と泉に奇妙な昆虫たちが舞う。全編覆うイギリスの薫り、そういえば筋立てもノスタルジックな雰囲気で心地よい。黒づくめの衣装に捕虫網を担ぐファーブル君は神出鬼没だ。そのファーブル君の難解なメモを解くのは、主人公遠野真亜梨。読むほどに、物語は想像以上のスケールの大きいものだと分かってきてワクワクした。子どもだって楽しめるこの本、知的で愉快で大満足である。
2021/02/23
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