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じんかん

じんかん

じんかん

作家
今村翔吾
出版社
講談社
発売日
2020-05-27
ISBN
9784065192702
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じんかん / 感想・レビュー

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鉄之助

”天下の悪人”と思われていた松永久秀の違った面を、ビビッドに描いてくれた大作だった。信長が狂言回しのような役回りで、筋が展開するのも新鮮だった。松永は「成り上がり」に違いはないが、文字を書くのが上手く三好家の祐筆から出世が始まったり、茶の湯では千利休の”兄弟子”だったり、懐石料理を自ら作って客人をもてなしたり……、なかなかの教養人だったのかも知れない。戦国時代の面白さを十二分に堪能できた。

2023/12/07

starbro

今村 翔吾、2作目です。松永久秀の物語は、何作か読んだことがありますが、織田信長が、松永久秀の半生を語ると言う構成にまず驚かされました。今まで松永久秀≒極悪非道な梟雄というイメージですが、180°ひっくり返り、正に義の人です。歴史は勝者が著わしているとは言え、どちらが史実に近いのでしょうか?いずれにしても圧倒的な快作、本書で直木賞再ノミネート、受賞もあるかも知れません。織田信長も松永久秀も私も無神論者です(笑)

2020/06/15

しんごろ

大悪人と言われようが、それは正義なのだ。松永久秀の正義なのだ。だから、大名に登り詰めたのだ。想像の世界なのかもしれないが、今村翔吾が見る松永久秀は、きっとこうなのだ。それを自分も信じたい。まさかの男が松永久秀という男を小姓頭に語る。語る男も革命児なら、松永久秀という男も革命児。義に厚く、強さと優しさとぶれない信条を持ち合わせてるからこそ、ただでさえ目頭が熱くなってるのに、最後のエピソードで更に心打たれ、目頭が熱くなった。大きな夢でも小さな夢でも夢は夢。信条をもって夢に向かって生きるべしと教えられた傑作だ。

2020/06/17

海猫

松永久秀の生涯を描く長編歴史小説。本の厚みに怯むものがあったが、中身が濃く引き込まれ、ぐいぐいと読めた。各エピソードに響くものがあり、悪人として知られる人物の再解釈として内容は興味深い。それ以上に魅力を感じるのは「人は何のために生まれ、何のために死ぬのか」という問いが通奏低音になっていること。ストーリーラインが面白いのは間違いないが、テーマが作品全体を通してブレず、何か太いものと向き合っているようで感じ入る。ひたすら不条理に抗おうとする人生のありようを読み終えると、「じんかん」というタイトルが沁みてきた。

2021/01/21

パトラッシュ

夢中になって読んだ。斎藤道三と並ぶ下剋上の王者とされる松永久秀が、これほど魅力的な男に描かれるとは。あやうく人喰いの地獄に堕ちかけた少年が運命の不思議に導かれ、戦国に名を残す武将となるドラマはたまらなく面白い。神仏や旧来の権威を足蹴にした信長が久秀の最大の理解者とは、その生涯のエピソードを思えば納得できる。漫然と生きるのを拒み命を燃やし尽くす久秀に惚れ込んで最後まで忠実に仕える男たちの何と爽やかな姿か。いつか道三のように久秀が大河ドラマの主人公となる日が来るか。その前に次の直木賞は本作で決定と断言したい。

2020/07/06

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