デリバリールーム
デリバリールーム / 感想・レビュー
のっち♬
困窮した妊婦を集めて幸せで安全な出産のために競い合わせるゲームに参加する宮子。人物造形の奇抜さ、斜め上の突破口、「どんな危うい人間だって幸せになっていい」という毎度のメッセージが著者らしい。物議を呼ぶためならどんな際どいメタファーや皮肉も厭わない。しかし、インパクトを重視し過ぎてテーマやコンテンツが未消化な印象。飛び交う平成用語や言葉遊びは令和の子供たちよりは同世代向けに感じる。勿体ぶる程でもない焦らしやフェアでもないルールの後出しは興を削ぎかねない。金では解決し切れない彼女達の背景が希望に翳りを添える。
2022/07/18
ゼロ
妊娠エンタメ。西尾維新氏による単品作品で、今回は中学生の妊婦が主人公。妊婦の元に届いたデリバリールームへの招待状。参加費50万円を持ち、6人のデスゲームが始まる。デスゲームと言っても殺し合いをするのではなく、頭を使った知能ゲームで、最後の一人になるまで戦い合うもの。悪趣味な物語であることは否定できません。登場人物が悲惨な過去を抱えています。特に主人公の宮子は名前の付け方から、妊婦になった理由から、今の家族関係からも不幸そのもの。ゲームの主催者も妊婦をデータとしてか見ていない。胸糞悪いエンタメ作品でした。
2020/12/06
雪紫
自らの子と安全安心出産を。妊婦(か妖婦か?)同士がその権利を掛けて椅子1枠のデスゲームへと挑む。流産ならないよな、な心配したり妊婦の生々しい問題をスパイス的に取り扱うも(過去を別にすると特に分娩ゲームに「うぇっ」となる。おちおわー!)重くなり過ぎずに言葉回し全開で最後の結果込みですいすい読めるエンタメに見事昇華。作中でも突っ込まれてる通り倫理観絶滅してるけど。
2023/05/12
えみ
なんてことだ・・・なんてことだ・・・まだまだ本が見せる世界、読書という宇宙の広さを理解していなかった。何と表したらいいか、結局語彙力ないことを披露することになるが、「凄まじい」その一言。癖も、展開も、背負った運命も凄まじい。脳内かき乱されて絡み合った神経が発火しそう。妊娠、出産という神聖とも言えるデリケートな領域で、まさかこんな世界を見せられようとは。予想外。文字通りの意味で妊婦達の人生を賭けた蹴落とし合いの戦いを観賞できる。女は強し、母は戦士。デリバリールームの招待状を受け取った妊婦達の勇姿を目撃する。
2021/03/14
さっちゃん
妊婦同士のデスゲーム。セーラー服の中学生妊婦が主人公の妊娠エンタメ!もう賛否両論大炎上しそうな題材(笑)。それでも、言葉遊びをてんこ盛りにしてラストまで楽しませてくれる、西尾維新ワールド全開の一冊。
2020/12/10
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