アンマーとぼくら (講談社文庫 あ 127-6)
アンマーとぼくら (講談社文庫 あ 127-6) / 感想・レビュー
さてさて
私達につかの間の安らぎを与えてくれる土地だからこそ、また、『アンマー』という母親のような包容力を持った土地だからこそ、そこにはもしかしたら…というまさかの奇跡が起こってもおかしくないと感じられる沖縄。『一体、ぼくに何が起こっている?』と、主人公のリョウがおかあさんと過ごした三日間の先に光を見る物語。沖縄の魅力満載なその内容に、無性に沖縄に行きたくなる物語。それは一方で、読後思わず母親に電話をしてしまった私…と、ふと、読者も自分の母親のことを考えてしまう、そんな親子というものに想いを馳せてしまう作品でした。
2021/07/21
mae.dat
実母を亡くし再婚する父と北海道から沖縄に移り住む小4〜中2の回想と、32歳になって継母と沖縄を旅するリョウ目線の話が順繰りに構成されているお話でね。有川さん、人を描くの巧いよねー。終始目頭ウルウル、心臓ドキドキでしたよ( ¨̮ )。特筆すべきは、子供より精神年齢が低いとされる父カツさんですね。子供の気持ちを慮らずに再婚を急ぐ姿は、おいおいと思わずにはいられませんでしたが、誤解も徐々に解かれるよ。純真なんですよね。真っ直ぐ過ぎて器用に立ち回れないの。愛されキャラ。儂かて無垢な心のまま大人に成りたかっただよ。
2022/06/16
SJW
母の休暇に付き合うために沖縄に里帰りしたリョウは、那覇空港で迎えに来た母と出会うが来る前のことは記憶がはっきりしない。休暇は3日で、家族の思い出の場所を巡るうちに、子供の頃に亡くした実の母や再婚のためにリョウを連れて沖縄に移住してから亡くなった父の思い出が次から次へと浮かんでくる。期限の3日を過ぎるどうなるのかがとても気になってしまったが、家族愛をテーマにした話に心暖まり、また知らなかった沖縄の側面を知ることができてとても良かった。
2021/05/29
速読おやじ
僕が一番涙腺崩壊するパターンの家族小説。舞台は沖縄。県庁おもてなし課の時もそうだったが、相当現地で取材されてるんだろうなあ、というのがあちこちで垣間見られる。まるで、沖縄旅行をしている気分にさせられる。物語では時間が行ったり来たりする中で、今の僕が過去の家族の原風景を見る。幼い頃に産みの母親を亡くし、父親が再婚した相手をしばらくはおかあさんと呼べない日が続く。ある日からおかあさんと呼べるようになるのだが、そんな新しい家族の生活も長くは続かず。。沖縄の風景とゆったりした時間の流れの中で物語は綴られてゆく。
2021/11/07
エドワード
三十二歳のリョウが沖縄へ里帰りする三日間。継母の晴子が出迎える。リョウが小学四年生の時に実の母が癌で死亡し、写真家の父が翌年晴子と再婚して沖縄に移住した。「心の整理がつかないだろ!」と晴子をお母さんと呼べないリョウ。そんな父も台風の海で命を落とす。斎場御嶽、残波岬、かつて訪れた場所で、幼いリョウと現在のリョウが交錯し…あれっ?これは叙述トリック?お互いを思いやる優しさが全編にあふれる。沖縄にあるニライカナイの信仰。死者の国は神の国、そこではみんな平和に暮らしているのだろう。美しい沖縄の風景が印象に残る。
2020/12/05
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