おもかげ (講談社文庫 あ 70-25)
おもかげ (講談社文庫 あ 70-25) / 感想・レビュー
三代目 びあだいまおう
何となしに生きている今の人生に、人生を支えてくれている全ての方に、心を込めて『ありがとうございます』と口ずさむ。そんな余韻を残す作品。ハンサムエリート商社マンの主人公は定年を迎えた盛大な送別会の後、地下鉄で倒れて病院に。意識は戻らず眠ったまま。順風満帆と思われていた彼の出自。しかし、誰からも愛されなかった生い立ち。名前もなく誕生日さえ不明、捨てられ施設で生きてきた。誰にも話さなかった。記憶を消すしかなかった。眠ったまま、幻のように訪れる幾人かの素敵な女性。消し去った過去に交わるおもかげ。素敵な結末‼️🙇
2020/12/18
ケイ
感動できなかった。歳を重ね、もう後半の方がずっと少ないなと思ってくると、作者の視点も変わるだろうし、こういう作品を求める読者もいるだろう。はばからずに言えば、ノスタルジーマスターベーションな印象。雪のマダムもある年代ウケだけしそうな。。。浅田作品で好きなものはたくさんある。敢えてこれは好きでないと記憶しておきたい。
2022/09/07
hitomi.s
上司からの頂き本。前回同様、積ん読本をぶっ飛ばして読了。今日の私に至るまでに、いったいどれ程の人たちと関わってきたのだろう。私を含んだ物語を持ち合わせた人たち。話しても共有しても、伝えきれないことはある。楽しかった、嬉しかった、かなしかった、さみしかった、ありがとう、もっと見て欲しい、愛してる。家族友人恋人。言えなかった言葉も含め今ここで、伝えたい気持ちはなんでしょう。どうやっても「分かり合えた」は有り得ないので、せめて伝えられる範囲で、伝えたい気持ちを話せたらいいな。
2020/12/23
まさきち
施設で育った主人公は定年まで勤め上げ、その送別会の帰りに地下鉄の中で意識を失いICUに運び込まれる。そこで不思議な3人の女性や同室の病床に臥せっている老人との不思議な体験や、見舞いに来てくれた家族や同胞、かつて袖触れ合った看護師の言葉や思いを通じて人生や自分の思いを振り返る。そこに地下鉄が絡み合い、郷愁あふれる風景を楽しめましたが、一番は自らの出自を知り、周囲の祝福によって歩み始め、幼くして亡くなった長男に励まされて再び強く生き抜く意志を固めたラストシーン。涙なくしては読み進められませんでした。
2024/10/10
matsu04
ストーリーテラー浅田次郎、さすがである。泣かせてもらった。すべてが明らかになる最終章が圧巻ではあるが、そのほかにもカッちゃんとの地下鉄駅での別れのシーンは何ともいいし、大学時代の恋人だった文月もとても切ないのである。
2021/10/08
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