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完全犯罪の恋

完全犯罪の恋

完全犯罪の恋

作家
田中慎弥
出版社
講談社
発売日
2020-10-28
ISBN
9784065211199
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完全犯罪の恋 / 感想・レビュー

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ケンイチミズバ

眼の前のこの女性が自分の娘になっていた可能性もあるかも知れない件。これも有名税なのか。と、最初は思わされた。 緑の娘だという静に詰め寄られる。あなたと母は恋人だったらしいではないか。母の影響であなたは文学に目覚めたのではないか。母がああいうふうになったのはあなたのせいでは ないか。文学賞を受賞するとこういうこともあるのかも知れない。これは何が起きているのか、先が気になる。過去と今を行き来し、ラストに作家は作家として自分が向き合う原点に立ち返ることになる。シリアスなこのラストは思いもよらないものだった。

2023/01/16

パトラッシュ

主人公は田中姓を名乗るが、血と泥と反吐をぶちまけたような小説を延々と書いてきた作者の私小説とは思えない。むしろ「自分でもピュアな恋愛小説を」との意気込みで、17歳の三角関係を書いてみたかったのではないか。三島や川端を愛読した部分だけが実体験で、高校時代に文学を論じ合える異性がいてほしかったとの願いを小説化したのか。その点は自分も同感だが、むしろ緑と森戸との過去の三角関係に絞って描いた方がすっきりしたのでは。緑の娘の静が母親の過去の恋愛をほじくり返すのは、美しい物語を汚してしまったように思えてならなかった。

2021/03/16

ゆのん

始めはとても読み難く感じたが、読み進めていくうちに太宰的な文章に感じ始め以前に読んだ事がある様な錯覚に陥る。川端康成、三島由紀夫の名作や、文豪達の死様の描写が素晴らしい。辛く、苦しく、後悔の念に駆られていても、それでも生きてゆく。罪を背負いながら。生きるのは綺麗事じゃないのだと突き付けられた感じがする。247

2020/11/04

ずっきん

私小説風恋愛小説なのかな。著者の作品は『共食い』『第三紀層の魚』しか読んでないけれど、比べると鮮烈さに欠ける。好みの問題かとも思う。ラストの断ち切り方がすごく好き。

2020/10/16

優希

田中慎弥の作品にしては読みやすく純粋な文学といった印象でした。美しい純愛小説を描こうとしたのでしょうね。川端や三島を絡ませているのが現実として浮き彫りにしつつ、文学について話せる相手が欲しかったのかもしれません。世界を拒み拒まれた色彩が塗られているのだと思います。

2021/04/18

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